花粉症のくしゃみ・咳で「ぎっくり腰」が発生しやすい。

ぎっくり腰について

花粉症とぎっくり腰には、意外な関係性があることが知られています。

特に花粉症の季節にぎっくり腰を発症する人が増えるという報告もあり、花粉症の症状がぎっくり腰のリスクを高める要因となり得ます。

当院でも、花粉症の季節(特に春の花粉症の頃)に、ぎっくり腰の患者さんが増えます。

ここでは、花粉症がどのように腰に影響してぎっくり腰を引き起こすのか、予防法などを、簡単にまとめておきます。

花粉症のくしゃみ・咳で「ぎっくり腰」が発生しやすい。

花粉症がぎっくり腰を誘発するメカニズム

花粉症の症状、特に「くしゃみ」や「咳」がぎっくり腰の直接的な引き金となることがあります。そのメカニズムは以下の通りです。

  1. 急激な腹圧の上昇:
    • くしゃみや咳は、肺の空気を勢いよく排出するために、腹筋や横隔膜、肋間筋などの体幹の筋肉が一気に収縮します。これにより、瞬間的に腹腔内の圧力(腹圧)が非常に高まります
    • この急激な腹圧の変化は、腰部に大きな負担をかけます。特に、不意なくしゃみや咳の場合、身体が構えていないため、腰の筋肉や靭帯に過度なストレスがかかり、ぎっくり腰を引き起こしやすくなります。くしゃみの速度は時速160km以上にも達すると言われており、その衝撃は想像以上に大きいものです。
  2. 不自然な姿勢でのくしゃみ・咳:
    • 花粉症の症状は予期せぬタイミングで現れることが多く、例えば前かがみの姿勢でくしゃみをしたり、身体をひねった状態で咳をしたりすると、腰にさらに負担がかかりやすくなります。
  3. 疲労と睡眠不足:
    • 花粉症の症状(鼻づまり、目のかゆみなど)によって、夜間の睡眠が妨げられ、疲労が蓄積しやすくなります。
    • 疲労がたまると、腰の筋肉の柔軟性が低下し、ぎっくり腰を発症しやすい状態になります。また、痛みを感じる閾値(ボーダーライン)が低下し、些細な刺激でも痛みを感じやすくなることも指摘されています。
  4. 運動不足:
    • 花粉症の症状が辛いため、外出を控えたり運動量が減ったりすることがあります。
    • 運動不足は、体幹の筋力低下や筋肉の柔軟性の低下を招き、腰への負担を大きくする要因となります。特に近年、テレワークなどで座りっぱなしの生活が増えた人も多く、腰の状態が悪化しているケースも少なくありません。

 

ぎっくり腰を経験する具体的な場面(花粉症との関連で)

NLC野中腰痛クリニックの調査(2025年時点のプレスリリースより)によると、花粉症の季節に腰痛を経験した人の約7割が「くしゃみをしたとき」に腰の痛みを感じると回答しています。その他、「疲労がたまっているとき」や「横になったときや寝起き」にも腰痛を感じやすい傾向が見られます。

 

花粉症に伴うぎっくり腰の予防策

花粉症の時期にぎっくり腰を防ぐためには、以下のような対策が有効です。

  1. くしゃみ・咳をする際の工夫:
    • 何かにつかまる: くしゃみが出そうなときは、壁や手すり、机など、何か安定したものにつかまって身体を支えましょう。
    • 姿勢を調整する: 中腰や身体をひねった状態でのくしゃみは避け、できるだけまっすぐ立った状態で、少し膝を曲げて腰への衝撃を和らげるように意識します。
    • 腹筋に力を入れる: くしゃみの瞬間に、おへそを背中に引き寄せるように腹筋に意識的に力を入れることで、腹圧を安定させ、腰への負担を軽減できます。
    • 腕で衝撃を吸収する: 胸の前で腕を組むなどして、くしゃみの衝撃を体幹全体に分散させる工夫も有効です。
  2. 花粉症の症状を緩和する:
    • 薬物療法: 症状が重い場合は、抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬など、医師から処方された薬を適切に使用し、くしゃみや鼻水の症状をコントロールしましょう。
    • 花粉対策: 花粉を室内に持ち込まない、外出時のマスクや眼鏡の着用、帰宅時の花粉除去なども重要です。
  3. 体調管理と生活習慣の見直し:
    • 十分な睡眠: 疲労を蓄積させないよう、質の良い睡眠を十分に取るように心がけましょう。
    • 適度な運動: 体幹の筋肉を強化し、柔軟性を保つために、ウォーキングやストレッチ、軽い筋力トレーニングなどを習慣にしましょう。ただし、ぎっくり腰の既往がある場合や不安な場合は、専門家に相談して適切な運動メニューを教えてもらうのが良いでしょう。
    • 正しい姿勢: 日常生活で正しい姿勢を意識し、長時間同じ姿勢でいることを避けて適宜休憩を取りましょう。特にデスクワークが多い人は注意が必要です。
    • 温める: 腰周りの血行を良くするため、お風呂で温まったり、カイロを使用したりするのも良いでしょう。

花粉症の季節は、ただでさえ身体にストレスがかかりやすい時期です。上記のような対策を講じることで、ぎっくり腰のリスクを減らし、快適に過ごせるように努めましょう。もしぎっくり腰になってしまった場合は、無理せず安静にし、必要であれば医療機関を受診してください。