捻挫や打撲といった急性期の怪我の直後にストレッチを行うことは、一般的に避けるべきです。怪我の直後は患部で炎症が起きている状態であり、ストレッチをすることで炎症を悪化させたり、組織の損傷をさらに広げてしまう可能性があります。
捻挫や打撲などの怪我の直後、ストレッチしたほうが良い?
なぜストレッチを避けるべきか
- 炎症の悪化: 怪我の直後は、患部で出血や腫れ、痛みを伴う炎症反応が進行しています。ストレッチによって血流が増加し、炎症がさらに悪化する恐れがあります。
- 組織の損傷拡大: 損傷した筋肉や靭帯、腱などの組織は非常にデリケートな状態です。無理にストレッチをすることで、断裂や損傷の程度を悪化させる可能性があります。
- 回復の遅延: 炎症が悪化したり、組織の損傷が拡大したりすると、結果的に回復が遅れてしまいます。
初期対応の原則「RICE処置」
怪我の直後に行うべき初期対応は、RICE処置が原則とされています。
- Rest(安静): 患部を動かさず、安静に保つ。
- Ice(冷却): 患部をアイシングすることで、炎症や腫れを抑える。
- Compression(圧迫): 患部を適度に圧迫することで、腫れを軽減する。
- Elevation(挙上): 患部を心臓より高く挙げることで、血流を抑制し腫れを抑える。
これらの処置により、炎症を最小限に抑え、組織の回復を促すことが重要です。
ストレッチを再開する時期
ストレッチを再開する時期は、怪我の種類、重症度、個人の回復力によって大きく異なりますが、大まかな目安としては炎症が治まり、患部の痛みが大幅に軽減してからとなります。具体的なタイミングは、自己判断ではなく、必ず専門家に相談し、その指示に従うことが重要です。
一般的には、以下のステップを踏んで徐々にストレッチを再開します。
- 急性期の脱却: RICE処置を適切に行い、患部の痛みや腫れ、熱感が引いて、炎症のピークを過ぎた段階です。
- 関節可動域の回復訓練: まずは、患部に負担をかけずに、自動運動(自分の力で動かす運動)や他動運動(他人に動かしてもらう運動)によって、制限された関節の可動域をゆっくりと回復させていきます。この段階では、まだ痛みを感じるような無理なストレッチは行いません。
- 軽度のストレッチ開始: 可動域がある程度回復し、動かしても強い痛みがなくなった段階で、専門家の指導のもと、非常に軽い負荷での静的ストレッチを短時間から開始します。伸張感を感じる程度で、決して痛みを伴わないように注意します。
- 段階的な負荷の増加: 回復の進捗に合わせて、ストレッチの時間や強度、頻度を徐々に増やしていきます。常に体の反応を注意深く観察し、少しでも痛みや違和感があれば、すぐに中止することが非常に重要です。
まとめ
捻挫や打撲などの怪我の直後は、ストレッチは控え、RICE処置を優先してください。回復状況に応じて専門家の指導のもと、段階的にストレッチを再開するようにしましょう。