古いマットレスを使い続けることは、単に寝心地が悪いだけでなく、体の健康に悪影響を及ぼし、様々な痛みや不調を引き起こす原因となります。
マットレスは消耗品であり、その寿命を過ぎたものは、適切なサポート力を失い、衛生面でも問題が生じやすくなります。
古いマットレスが体に良くない理由、痛みを引き起こす理由
1.サポート力の低下と体の歪み
マットレスの寿命が近づくと、内部の素材が劣化し、体へのサポート力が著しく低下します。
- 体圧分散性の喪失: 新品時は体を均等に支えて体圧を分散しますが、古いマットレスはへたりや沈み込みが生じ、腰や肩、お尻などの特定の部位に体重が集中するようになります。これにより、これらの部分に過度な圧力がかかり、血行不良や神経の圧迫を引き起こします。
- 寝姿勢の悪化: へたったマットレスは、体の重い部分(特に腰やお尻)が不自然に沈み込み、背骨のS字カーブが崩れてしまいます。仰向け寝では腰が反りすぎたり、横向き寝では体が「くの字」になったりするなど、不自然な寝姿勢を長時間強いられることになります。
- 筋肉や関節への負担: 不適切な寝姿勢は、睡眠中も腰、首、肩などの筋肉や関節に常に負担をかけ続けます。その結果、腰痛、肩こり、首の痛みなどが引き起こされたり、既存の痛みが悪化したりします。朝起きたときに体がだるい、凝っていると感じる場合、マットレスが原因である可能性が高いです。
- 寝返りの妨げ: へたりによって体が深く沈み込むと、寝返りを打つのが困難になります。寝返りは、体の一部分に圧力が集中するのを防ぎ、血行を促進するために不可欠です。寝返りが打てないと、特定の部位への負担が増し、痛みが悪化する原因となります。
2.衛生面の問題
マットレスは、長年使用することで目に見えない汚れや不純物が蓄積し、衛生面で大きな問題を引き起こします。
- ダニやカビの繁殖: 人間は寝ている間に大量の汗をかき、フケや皮脂なども落ちます。古いマットレスは、これらの水分や有機物が内部に蓄積しやすく、ダニやカビにとって格好の繁殖場所となります。ダニの死骸やフン、カビの胞子は、アレルギー性鼻炎、喘息、皮膚炎などのアレルギー症状を引き起こしたり悪化させたりする原因となります。
- ハウスダストの蓄積: マットレス内部には、長年の使用で繊維の屑や埃が蓄積し、ハウスダストの温床となります。これもアレルギーの原因となるだけでなく、呼吸器系の不調を引き起こす可能性があります。
- 不快な臭い: 汗や湿気、雑菌などが原因で、マットレスから不快な臭いが発生することがあります。
3.睡眠の質の低下
上記の要因は、結果的に睡眠の質を大きく低下させます。
- 熟睡できない: 体の痛みや不快感、アレルギー症状などによって、夜中に目が覚めてしまったり、深い睡眠が得られなかったりします。
- 疲労回復の阻害: 質の低い睡眠は、日中の疲労回復を妨げ、集中力や判断力の低下、免疫力の低下など、様々な悪影響を及ぼします。これは、怪我の治癒や回復にも悪影響を及ぼします。
4.マットレスの寿命と交換の目安
マットレスの寿命は素材によって異なりますが、一般的には以下の期間が目安とされています。
- コイルマットレス: 7~10年程度
- ウレタンマットレス: 5~8年程度
- ラテックスマットレス: 8~15年程度
ただし、使用状況や品質によっても異なるため、上記の目安に加えて、マットレスのへたり、沈み込み、きしみ音、体力の回復状況、アレルギー症状の有無などを総合的に判断し、適切な時期に交換を検討することが大切です。朝起きたときに痛みや不快感を感じるようになったら、それはマットレスが寿命を迎えているサインかもしれません。