挫傷は、一般的に「肉離れ(にくばなれ)」とも呼ばれる怪我で、筋肉が急激に収縮したり、強く引き伸ばされたりすることで、筋肉の繊維が損傷したり断裂したりする状態を指します。スポーツ中や急な動作の際に起こることが多く、太ももの裏(ハムストリングス)、ふくらはぎ、太ももの前(大腿四頭筋)などに多く見られます。
挫傷(ざしょう)とは?
挫傷の主な症状
挫傷をすると、主に以下のような症状が現れます。
- 痛み:
- 受傷した瞬間に「ブチッ」という音や「ガクッ」という感覚とともに、鋭い痛みや激しい痛みが走ることが多いです。
- 痛みのため、患部の筋肉を使う動作(例:歩く、走る、ジャンプする)が困難になる、あるいは不可能になることがあります。
- 患部を押すと強い痛み(圧痛)があります。
- 腫れ(腫脹):
- 筋肉組織の損傷と炎症により、患部が腫れてきます。
- 内出血(青あざ・皮下出血):
- 筋肉内の血管が損傷し、血液が組織内に漏れ出すことで、皮膚に青紫色や赤紫色のあざ(内出血)が現れることがあります。これは、受傷直後よりも数日経ってから顕著になることもあります。
- へこみや段差:
- 筋肉が大きく断裂した場合、皮膚の上から触ると、筋肉にへこみ(陥没)や段差が感じられることがあります。これは重度の挫傷のサインです。
- 熱感:
- 炎症反応によって、患部に熱を感じることがあります。
- 機能障害:
- 痛みのために、患部の筋肉を使った動作が制限されたり、力が入りにくくなったりします。重度の場合は、自力で立ち上がることや歩行が困難になることもあります。
挫傷の原因となる場面
- スポーツ中の急な動作:
- 短距離走のスタート時、ジャンプの着地、急な方向転換、キック動作などで、筋肉が急激に収縮したり、伸ばされたりする際に発生しやすいです。
- 特に、ウォーミングアップ不足や筋肉疲労がある場合にリスクが高まります。
- ダッシュやジャンプ:
- 急な加速や減速、高いところからの着地など、筋肉に大きな負荷がかかる動作。
- 準備不足:
- 運動前のストレッチ不足、疲労の蓄積など。
挫傷の重症度分類
挫傷は、筋肉の損傷の程度によって一般的に以下の3段階に分類されます。
- I度(軽度): 筋肉の繊維がわずかに伸びたり、ごく一部が損傷した状態。痛みは比較的軽度で、軽度の圧痛や腫れがあります。運動は可能ですが、違和感や軽い痛みを感じます。
- II度(中等度): 筋肉の繊維が部分的に断裂した状態。受傷時に鋭い痛みがあり、明らかな圧痛、腫れ、内出血が見られます。歩行や動作に支障が出ることが多く、力が入りにくくなります。
- III度(重度): 筋肉の繊維が完全に断裂した状態。受傷時に激しい痛みとともに断裂音を伴うことがあり、大きな腫れや内出血、筋肉の陥没が見られます。自力での動作は非常に困難か不可能で、手術が必要となる場合もあります。
注意すべき挫傷
挫傷は、適切な処置を行わないと、回復が遅れたり、痛みが慢性化したり、再発しやすくなったりすることがあります。
- 受傷直後の痛みや腫れが強い場合
- 筋肉にへこみや段差がある場合
- 自力で歩行できない、または関節を動かせない場合
- 時間が経っても症状が改善しない場合
挫傷が疑われる場合は、自己判断せずに、まずは当院にご相談ください。