捻挫は、関節に強いねじる力やひねる力が加わることで、関節を支えている靭帯(じんたい)や関節包(かんせつほう)などの組織が損傷する怪我のことです。
骨と骨をつないで関節を安定させているのが靭帯で、関節包は関節全体を包む膜です。これらの組織が一時的に限界を超えて伸びてしまったり、一部が断裂してしまったりすることで起こります。
捻挫(ねんざ)とは?
捻挫の主な症状
捻挫をすると、主に以下のような症状が現れます。
- 痛み:
- 受傷直後からズキズキとした痛みが現れることが多いですが、動き始めや特定の方向に動かすときに強く感じることがあります。
- 患部を押すと痛む「圧痛」があります。
- 損傷の程度によっては、体重をかけたり、動かしたりできないほどの激痛を伴うこともあります。
- 腫れ(腫脹):
- 損傷した靭帯や組織で炎症が起こり、内出血を伴うことで患部が腫れてきます。
- 特に足首の捻挫では、くるぶしの周りが大きく腫れることが多いです。
- 内出血(青あざ・皮下出血):
- 靭帯や血管が損傷することで、皮膚の下に血液が漏れ出し、青紫色や赤紫色に変色する「青あざ」が現れることがあります。
- 内出血は、時間の経過とともに黄色や緑色に変化しながら吸収されていきます。
- 熱感:
- 炎症反応によって、患部に熱を感じることがあります。
- 関節の不安定感:
- 靭帯が損傷すると、関節の安定性が失われ、グラグラするような「不安定感」を感じることがあります。これは重度の捻挫で起こりやすい症状です。
捻挫の原因となる場面
- スポーツ中: バスケットボールやサッカー、バレーボールなどで着地の際に足首をひねる、方向転換で膝をひねるなど。
- 転倒: 段差につまずく、階段から落ちる、滑りやすい場所で転ぶなど。
- 日常生活: ハイヒールを履いていて足首をひねる、不意に足を踏み外すなど。
捻挫の重症度分類
捻挫は、靭帯の損傷の程度によって一般的に以下の3段階に分類されます。
- I度(軽度): 靭帯が一時的に伸びた状態。痛みや腫れは軽度で、関節の不安定感はほとんどありません。比較的早く回復します。
- II度(中等度): 靭帯の一部が部分的に断裂した状態。痛みや腫れが中程度で、圧痛も強く、関節の不安定感が少し感じられることがあります。回復には時間がかかります。
- III度(重度): 靭帯が完全に断裂した状態。強い痛みと著しい腫れ、広範囲の内出血を伴い、関節が非常に不安定になります。手術が必要になることもあります。
注意すべき捻挫
「たかが捻挫」と思われがちですが、放置すると関節の不安定性が残ったり、痛みが慢性化したり、再発しやすくなったりすることがあります。特に以下のような場合は、医療機関での診察が必要です。
- 強い痛みで体重をかけられない、動かせない
- 腫れがひどく、変形しているように見える
- 青あざが広範囲に及ぶ
- 「ブチッ」という断裂音を聞いた
- 時間が経っても症状が改善しない
捻挫かなと思ったら、自己判断せずに、まずは当院にご相談ください。適切な処置が重要です。