交通事故で吐き気がある場合、何科に通院する?

交通事故について
交通事故後に吐き気がある場合、それは頭部への衝撃や、それに伴う脳の損傷、あるいは精神的なストレスなど、複数の原因が考えられるため、適切な科を速やかに受診することが非常に重要です。
特に、吐き気が頭部外傷のサインである可能性も高く、安易な自己判断は避けるべきです。

交通事故後に吐き気がある場合の受診科

1.最優先で受診すべき科:脳神経外科または救急科

交通事故後に吐き気がある場合、まず第一に考えるべきは、頭部への影響です。

  • 頭部外傷の可能性:
    • 交通事故の衝撃で頭部を打撲した場合、脳震盪(のうしんとう)や、頭蓋骨内の出血(硬膜外血腫、硬膜下血腫など)を起こしている可能性があります。
    • これらの症状は、吐き気や嘔吐のほか、頭痛、意識レベルの低下、めまい、視覚異常などとして現れることがあります。特に、吐き気が続く、意識が朦朧とする、手足に麻痺があるなどの症状を伴う場合は、緊急性が非常に高いです。
  • なぜ脳神経外科か:
    • 脳神経外科は、脳、脊髄、末梢神経系の疾患や外傷を専門とする診療科です。頭部外傷に伴う脳の損傷の診断・治療に最も適しています。
    • CTやMRIといった画像診断を用いて、脳内部の状態を詳しく確認し、出血や損傷の有無を正確に判断することができます。
  • 救急科の役割:
    • もし症状が重篤で、緊急性が高いと判断される場合(意識がない、強いけいれんがあるなど)は、ためらわずに救急車(119番)を要請し、救急科のある総合病院へ搬送してもらうのが最善です。救急科では、初期対応として迅速な診断と応急処置が行われます。

 

2.その他の可能性と関連する科

頭部外傷以外にも、吐き気を引き起こす要因は考えられます。しかし、これらの場合でも、まず脳神経外科や救急科で頭部外傷の可能性を排除することが重要です。

  • むちうち症(頚椎捻挫):
    • 追突事故などで首に大きな負担がかかるむちうち症でも、吐き気やめまいを伴うことがあります。これは、首の神経や自律神経への影響が考えられます。
    • 頭部外傷の可能性が否定された後、首の痛みや症状が顕著な場合は、整形外科での診察が適しています。整形外科では、首の状態を詳しく検査し、むちうち症に対する適切な治療(薬物療法、物理療法、リハビリテーションなど)を行います。
  • 自律神経の乱れ:
    • 交通事故という大きなストレスや、それに伴う体への衝撃は、自律神経のバランスを大きく乱すことがあります。自律神経の乱れは、消化器系の働きに影響を与え、吐き気や食欲不振、便秘、下痢などの症状を引き起こすことがあります。
    • この場合も、まずは物理的な損傷がないかを確認するため、脳神経外科や整形外科を受診し、問題がないようであれば、心身のケアを含めた治療が必要となる場合があります。
  • 精神的ストレス・ショック:
    • 事故の衝撃や恐怖体験自体が精神的なショックとなり、吐き気などの身体症状として現れることがあります。
    • 物理的な損傷が見つからない場合でも、精神的なケアが必要となることがあります。その際は、心療内科や精神科への相談も視野に入れる必要があります。

 

3.医療機関受診の際の注意点

交通事故後に吐き気がある場合、以下の点に注意して受診しましょう。

  • 症状を詳細に伝える:
    • いつから吐き気があるか、吐き気以外にどのような症状があるか(頭痛の有無、めまい、手足のしびれ、意識の変化など)、事故の状況(頭を打ったか、車のどの部分が損傷したかなど)を具体的に医師に伝えましょう
  • 自己判断はしない:
    • 「これくらいなら大丈夫だろう」と自己判断せず、必ず専門医の診察を受けてください。特に頭部外傷は、時間が経ってから症状が悪化することがあり、早期発見が命を救うことにもつながります。
  • 事故の記録を残す:
    • 警察への届け出、事故相手の情報、保険会社への連絡など、事故の記録は必ず残しておきましょう。これは、治療費の請求や損害賠償請求の際に必要となります。

交通事故後の吐き気は、軽視してはいけないサインです。適切な医療機関を速やかに受診し、早期に原因を特定して治療を開始することが、自身の健康を守る上で最も重要です。