交通事故による打ち身は、どんな特徴がある?

交通事故について

交通事故による打ち身(打撲)は、日常生活で起こる軽微な打ち身とは異なり、その衝撃の大きさから特有の症状や経過をたどることがあります。

単なるアザや痛みだけでなく、後から症状が悪化したり、他の深刻な損傷を伴っていたりする可能性もあるため、注意が必要です。

交通事故の打ち身は、どんな特徴がある?

1.痛みの出現時期と持続性

交通事故による打ち身の大きな特徴は、痛みが直後には現れにくいことがある点です。

  • 遅れて現れる痛み: 事故直後は、興奮状態やアドレナリンの分泌により、痛みを感じにくいことがあります。しかし、時間が経って落ち着くと、数時間後から数日後に痛みが顕在化することがよくあります。これは「遅発性疼痛」と呼ばれ、交通事故による打ち身で特に顕著に見られます。
  • 広範囲に及ぶ痛み: 事故の衝撃は体全体に伝わるため、直接ぶつかった部位だけでなく、広範囲の筋肉や関節に負担がかかり、複数の場所に痛みを感じることがあります。特に、シートベルトによる圧迫痕や、衝撃で体がシートに打ち付けられた部分などに痛みが出やすいです。
  • 痛みの持続性: 日常生活での打ち身よりも、痛みが長引く傾向があります。これは、衝撃が強く、深部の組織まで損傷している可能性があるためです。

 

2.視覚的な特徴(アザ・腫れ)

打ち身は、皮膚の表面だけでなく深部でも起こっているため、見た目にも特徴が現れます。

  • アザ(内出血)の色と変化:
    • 初期(数時間~数日):衝撃により毛細血管が破れ、血液が皮下組織に広がり、赤色~青紫色のアザとして現れます。
    • 中期(数日~1週間):血液中のヘモグロビンが分解され始め、青色から黒紫色に変化します。
    • 後期(1週間~数週間):さらに分解が進み、緑色から黄色、褐色へと変化し、徐々に薄れていきます。交通事故では、衝撃が強いため、このアザが広範囲にわたったり、濃く出たりすることがあります。
  • 腫れ(浮腫): 患部の血管から体液が漏れ出し、組織に溜まることで腫れが生じます。腫れが大きいほど、周囲の神経を圧迫し、痛みを増強させることがあります。腫れが引くまでに時間がかかることも特徴です。
  • 熱感: 炎症反応により、患部に熱感を伴うことがあります。

 

3.機能障害とその他の症状

打ち身は、単なる痛みやアザにとどまらず、その部位の機能にも影響を与えることがあります。

  • 可動域の制限: 痛みや腫れ、筋肉の防御反応により、患部の関節を動かしにくくなることがあります。特に首や腰、四肢の関節で顕著で、「動かすと痛い」「動かせない」といった症状が出ます。
  • 筋肉の硬直(スパズム): 事故の衝撃や恐怖により、無意識に筋肉が強く緊張し、硬直(スパズム)することがあります。これが持続すると、血行不良や神経の圧迫を引き起こし、痛みを悪化させたり、しびれを伴ったりすることもあります。
  • しびれ: 打ち身によって神経が圧迫されたり、損傷を受けたりすると、しびれを感じることがあります。これは、特に重度の打ち身や、神経の走行に近い部位で起こりやすいです。
  • 全身症状: 事故のストレスや体のダメージにより、倦怠感、だるさ、不眠、食欲不振などの全身症状を伴うこともあります。

 

4.他の損傷との合併の可能性

交通事故の打ち身は、他のより深刻な損傷と合併している可能性があるため、注意が必要です。

  • 骨折・ひび: 重度の打ち身だと思っていたものが、実は骨にひびが入っていたり、骨折していたりすることがあります。特に、強い衝撃を受けた場合は、医療機関でのレントゲンやCTなどの画像検査が不可欠です。
  • むちうち(頚椎捻挫): 追突事故などでは、打ち身だけでなく、首のむちうちを伴うことが非常に多いです。むちうちは、首の痛みだけでなく、頭痛、めまい、吐き気、手足のしびれなど、多様な症状を引き起こす可能性があります。
  • 内臓損傷: 稀ではありますが、胸部や腹部の強い打ち身は、内臓(肺、肝臓、脾臓など)の損傷を伴うことがあります。激しい痛み、呼吸困難、腹部の張りなどの症状があれば、緊急性が高いです。
  • 脳への影響: 頭部を打った場合は、外見上問題がなくても、脳震盪や脳内出血が起きている可能性があります。頭痛、吐き気、意識レベルの変化、手足の麻痺などがあれば、すぐに医療機関を受診すべきです。

 

適切な対応の重要性

交通事故による打ち身は、単なる軽いケガと自己判断せず、必ず医療機関(整形外科)を受診し、医師の診断を受けることが非常に重要です。適切な診断と治療を受けることで、痛みの早期軽減と、後遺症の予防につながります。