コルセットやサポーターは、痛みがなくても、普段から着けていいの?

質問数が多い項目【症状編】
コルセットやサポーターは、体の特定の部位(特に腰や関節など)を固定したり、安定させたり、あるいは圧迫したりすることで、痛みの軽減や怪我の予防、再発防止を目的として使用されます。これらは、医療用具として、またはスポーツ活動時の保護具として広く用いられています。

結論から言うと、痛みがなくてもコルセットやサポーターを常時装着し続けることは、一般的に推奨されません。特定の状況や期間に限って有効な場合もありますが、漫然とした使用は以下のようなデメリットを引き起こす可能性があります。

コルセットやサポーターは、痛みがなくても、普段から着けていいの?

1. 筋力低下のリスク

コルセットやサポーターは、外部から体を支持することで、本来筋肉が果たすべき役割の一部を代行します。特に体幹を安定させる腰部のコルセットや、関節を支持するサポーターを長期間にわたって使用すると、その部位の筋力が低下する可能性があります。

  • 体幹筋の弱化: 腰痛の場合、腹筋や背筋といった体幹の深層筋が、コルセットの支持に頼りきりになることで弱化しやすくなります。これらの筋肉は、本来、体の安定性を保つために非常に重要です。
  • 関節周囲筋の機能低下: 膝や足首などのサポーターも同様に、関節を支える周囲の筋肉の働きが低下する原因となることがあります。筋力が低下すると、サポーターなしでは不安定になり、かえって怪我のリスクを高めることにもつながりかねません。

 

2. 血行不良や皮膚トラブル

コルセットやサポーターによる圧迫は、適切であれば血行促進に役立つこともありますが、長時間の過度な装着は血行不良を引き起こす可能性があります。

  • 血行不良: 圧迫が強すぎたり、装着時間が長すぎたりすると、皮膚や筋肉への血流が阻害され、かゆみ、しびれ、うっ血などの症状が現れることがあります。
  • 皮膚トラブル: 長時間装着することで、汗による蒸れや摩擦が生じやすくなり、かぶれや湿疹などの皮膚トラブルを引き起こすことがあります。

 

3. 心理的依存

痛みがなくても常にコルセットやサポーターを着けていると、「これがないと不安だ」「これがないと動けない」といった心理的な依存が生じやすくなります。これにより、本来必要がなくなった後も外しにくくなり、結果的に体の回復を妨げる要因となることがあります。

 

痛みがなくても装着が推奨されるケース

例外的に、痛みがなくてもコルセットやサポーターの装着が推奨される特定の状況もあります。

  • 負荷の高い活動時:
    • 重い物を持ち上げる作業: 職業上、腰に大きな負担がかかる作業を行う際に、一時的にコルセットを着用することで、腰の安定性を高め、怪我の予防に役立つことがあります。
    • スポーツ活動中: 過去に捻挫や脱臼の既往がある関節の場合、スポーツ中にサポーターを装着することで、再発予防やパフォーマンスの安定に寄与することがあります。特に、激しい動きを伴うコンタクトスポーツなどでは有効です。
  • リハビリテーションの一環: 医療専門家(医師や理学療法士)の指導のもと、特定の動作を行う際や、回復過程の特定の段階で、一時的に装着を指示される場合があります。これは、「動いても大丈夫」という安心感を与えたり、特定の動きを制限して回復を促す目的であったりします。
  • 予防目的(短期間・一時的): 初めて行う負荷の高い運動や、久しぶりに行う活動などで、一時的に不安がある場合に、短期間の使用を検討することはあります。

 

正しい使用法と専門家への相談

コルセットやサポーターを使用する際は、症状や目的に合わせて適切な種類を選び、正しいサイズと装着方法を守ることが重要です。自己判断で選び、長期間使用し続けることは避けましょう。

  • 着用時間: 痛みが強い急性期や、特に負荷がかかる活動時のみに限定するなど、着用時間を適切に調整することが大切です。日常生活で漫然と着け続けることは避けるべきです。
  • 適切な選択: インターネットや店頭には様々な種類のコルセットやサポーターがありますが、ご自身の症状や体の状態に合ったものを選ぶためには、必ず医師や理学療法士、柔道整復師などの専門家に相談し、アドバイスを受けるようにしましょう。彼らは、適切な製品の選択肢や、筋力トレーニングと併用した効果的な使い方について指導してくれます。

コルセットやサポーターは、適切に使用すれば非常に有効な補助具ですが、痛みがなくても漫然と装着し続けることは、長期的な身体機能の低下や依存を引き起こすリスクがあります。ご自身の体の状態に合わせて、必要な時に、必要な期間だけ使用することが賢明です。疑問や不安があれば、迷わず専門家に相談してくださいね。