草取りは、腰に大きな負担がかかる作業であり、ぎっくり腰を引き起こしやすい活動の一つです。
特に、長時間同じ体勢を続けたり、不適切な姿勢で行ったりすると、そのリスクはさらに高まります。
患者さんでも、高齢者の方を中心に、ご自宅の草取りを行っている際、もしくは、草取りが終わった直後に、ぎっくり腰になって動けなくなるケースが目立ちます。
草取り当日は、腰に違和感を感じるだけで「変だな?」と思っていたところ、翌日、まったく動けないぎっくり腰になってしまうケースも多くあります。
ここでは、草取りとぎっくり腰の関係性についてまとえ
草取りで「ぎっくり腰」になるケースが多くあります。
草取りでぎっくり腰になりやすい理由
- 中腰・前かがみの姿勢:
- 草取りの主な姿勢は、長時間の中腰や前かがみです。この姿勢は、腰椎(腰の骨)や椎間板に強い圧力をかけます。特に、前屈みになると椎間板への負担が大幅に増加し、ぎっくり腰の直接的な引き金となることがあります。
- 身体をひねる動作:
- 草を抜く際、手を伸ばしたり、身体を左右にひねったりすることがよくあります。この「ひねり」の動作は、腰椎に最も負担がかかる動きの一つです。中腰や前かがみの姿勢でひねりを加えることで、腰の筋肉や靭帯、椎間板に予想以上のストレスがかかります。
- 同じ姿勢の繰り返しと長時間作業:
- 短時間であれば問題ない姿勢でも、長時間繰り返すことで腰の筋肉は疲労し、硬直していきます。疲労が蓄積した状態で無理な動きをすると、ぎっくり腰を発症しやすくなります。時間を忘れて没頭しやすい作業だからこそ注意が必要です。
- 急な動きや急な負荷:
- 頑固な草を抜く際に、ぐっと力を入れたり、急に引っ張ったりする動作は、瞬発的な負荷を腰にかけることになります。この予期せぬ強い負荷が、ぎっくり腰の引き金となることがあります。
- 不十分な準備運動と休憩:
- 普段あまり使わない筋肉を使うため、準備運動なしにいきなり草取りを始めると、筋肉が冷えた状態で負荷がかかるため、損傷しやすくなります。また、休憩なしで作業を続けると、疲労が蓄積し、腰への負担が増大します。
- 道具の不適切使用:
- 長さの合わない鎌やスコップを使ったり、無理な体勢で道具を操作したりすることも、腰への負担を増やす原因となります。
草取りでぎっくり腰を防ぐための対策
草取りを安全に行い、ぎっくり腰のリスクを減らすためには、以下の対策を実践することが重要です。
- 適切な服装と準備運動:
- 動きやすい服装: 身体の動きを妨げない、ゆったりとした服装を選びましょう。
- 準備運動: 作業を始める前に、軽いストレッチで腰や股関節、太ももの筋肉をほぐしましょう。特に、アキレス腱、ハムストリングス、股関節周りのストレッチは重要です。
- 正しい姿勢と体の使い方:
- しゃがむ・膝をつく: 中腰や前かがみを避け、できるだけしゃがむか、膝をついて作業しましょう。膝をつく場合は、膝当てを使用すると快適です。
- 背筋を伸ばす: 腰を丸めず、背筋をまっすぐ伸ばした状態を意識しましょう。
- 「くの字」姿勢を避ける: 腰だけを曲げるのではなく、股関節から体を曲げるように意識します。
- 身体のひねりを避ける: 腕だけで作業せず、身体全体(足の向きや重心移動)を使って、身体をひねる動作を極力減らしましょう。
- こまめな休憩と体勢変換:
- 短い休憩を頻繁に: 15〜30分に一度は作業を中断し、立ち上がって伸びをしたり、軽く歩いたりして体勢を変えましょう。
- 水分補給: 脱水は筋肉の硬直につながるため、こまめに水分を摂りましょう。
- 適切な道具の選択と使用:
- 柄の長い道具: 長い柄のついた草刈り鎌や草取りフォークなどを活用すると、中腰にならずに作業ができます。
- キャスター付きの椅子や台: 座ったままで移動できるガーデンチェアなどを利用すると、腰への負担を大幅に減らせます。
- 軍手やグローブ: 手を保護するだけでなく、道具をしっかり握ることで余計な力が入るのを防ぎます。
- 無理をしない:
- 短時間で区切る: 一度に全てを終わらせようとせず、作業を小分けにして数日に分けて行いましょう。
- 体調が悪いときは避ける: 寝不足や疲労がたまっているときは、無理に作業をしないようにしましょう。
草取りは庭をきれいに保つために必要な作業ですが、身体への負担が大きいことを理解し、上記のような予防策を実践することで、ぎっくり腰のリスクを最小限に抑えることができます。もし作業中に腰に痛みを感じたら、すぐに中断し、無理をしないようにしましょう。