交通事故で横からぶつけられると、どんな症状が出やすい?

交通事故について
交通事故で車を横からぶつけられる「側面衝突(Tボーン事故)」は、後方からの追突や前方からの衝突とは異なり、独特の衝撃と体の動きを伴うため、発生しやすい症状にも特徴があります。
特に、体の側面への直接的な衝撃と、シートベルトによる不均衡な力が加わることで、片側や斜め方向へのダメージが大きくなります。

交通事故で横からぶつけられると、どんな症状が出やすい?

側面衝突による衝撃の特性

側面衝突では、以下のような物理的な特性から、特定の種類の怪我が起こりやすくなります。

  • 横方向への強い衝撃: 車が横からぶつかることで、搭乗者の体は衝突された側から激しい横方向の力を受けます。これにより、シートベルトで固定されていない体の上部(頭や上半身)が大きく振られやすくなります。
  • 車体の変形と侵入: 側面は、車の構造上、前面や後面に比べて衝撃吸収ゾーンが少ないため、衝突された側が大きくへこみ、時には車体が搭乗スペースに侵入することがあります。これにより、直接的な打撲や挟まれ、圧迫による怪我のリスクが高まります。
  • シートベルトによる不均衡な拘束: シートベルトは命を守るものですが、側面衝突時には体が斜め方向へ振られることで、ベルトが食い込む力が特定の部位に集中し、非対称な損傷を引き起こすことがあります。

 

発生しやすい主な症状

これらの特性により、側面衝突では以下のような症状が出やすい傾向があります。

 

1. 首・肩の症状

むちうち症(頸椎捻挫)は追突事故の典型ですが、側面衝突ではその発生メカニズムに特徴があります。

  • 非対称性のむちうち: 体が横に振られることで、首が横方向へ強く曲げられたり、ひねられたりするため、片側の首の筋肉や靭帯に強い負担がかかります。これにより、片側の首や肩の痛み、こり、可動域制限が顕著に出やすいです。
    • 寝違えのような症状: 首の特定の部位だけが強い痛みを伴い、左右どちらかに向けられない、後ろを振り向けないなどの症状が出ることがあります。
    • 僧帽筋(そうぼうきん)や肩甲挙筋(けんこうきょきん)の損傷: 首から肩にかけての筋肉が過度に引き伸ばされ、強い痛みや筋硬結(しこり)を生じることがあります。
  • 神経症状: 首の骨(頸椎)や椎間板、そこから出る神経根にダメージが及ぶと、片側の腕や手へのしびれ、だるさ、痛み、筋力低下といった神経症状が現れることがあります。

 

2. 腰・骨盤の症状

側面からの衝撃は、上半身だけでなく、骨盤や腰部にも大きな影響を与えます。

  • 腰椎捻挫・仙腸関節(せんちょうかんせつ)の損傷: 衝撃で体が強くひねられたり、骨盤に直接的な力が加わったりすることで、腰椎や、腰と骨盤をつなぐ仙腸関節に負担がかかり、強い痛みを伴うことがあります。仙腸関節は非常に安定性が高い関節ですが、強い衝撃でずれると、股関節や臀部、太ももの裏側にまで痛みが広がることもあります。
  • 臀部(でんぶ)や股関節周辺の打撲・挫傷: 衝突された側の臀部や股関節に直接的な衝撃が加わり、打撲や筋肉の挫傷(肉離れ)を起こすことがあります。これにより、座るのが痛い、歩行時に足を引きずるなどの症状が出ることがあります。

 

3. 胸部・体幹の症状

シートベルトによる拘束や、車体からの直接的な衝撃が影響します。

  • 肋骨の骨折・打撲: 側面衝突では、衝突された側の肋骨に直接的な衝撃が加わりやすく、肋骨骨折や肋間筋(ろっかんきん)の損傷を起こすことがあります。これにより、呼吸時や体をひねる動作で強い痛みが生じます。シートベルトが食い込むことで肋骨を骨折させるケースもあります。
  • 胸骨・鎖骨の損傷: シートベルトが当たる胸骨や鎖骨にも大きな力が加わり、打撲や、まれに骨折が生じることがあります。

 

4. 頭部・顔面の症状

横方向への揺れや、窓ガラスなどへの衝突で発生します。

  • 脳震盪(のうしんとう): 頭部が強く揺さぶられたり、窓ガラスや内装にぶつかったりすることで発生します。意識消失がなくても、頭痛、めまい、吐き気、集中力低下、記憶障害などの症状が遅れて現れることがあります。
  • 顔面・顎関節(がくかんせつ)の損傷: 窓ガラスやサイドピラー、エアバッグなどへの衝突で、顔面の打撲や骨折、顎関節(顎の関節)の損傷が起こることがあります。これにより、口を開けにくい、顎が痛いといった症状が出ます。

 

まとめと早期受診の重要性

交通事故で横からぶつけられた場合、その独特の衝撃から、片側や斜め方向への非対称な怪我が発生しやすいという特徴があります。見た目には大きな怪我がなくても、内部の組織や神経が損傷している可能性が十分にあります。

事故直後に痛みがなくても、必ず病院(整形外科)を受診し、詳細な検査と診断を受けることが非常に重要です。特に、後から症状が現れる「遅発性」のケースも多いため、少しでも異変を感じたら迷わず医療機関に相談しましょう。早期の適切な診断と治療が、症状の悪化を防ぎ、後遺症のリスクを軽減するために不可欠です。

接骨院との併用も可能ですので、お気軽にご相談ください。