交通事故の痛みが、右半身だけ・左半身だけに出ることはある?

交通事故について
交通事故の痛みが右半身だけ、または左半身だけに出ることは十分にあります。
むしろ、事故の状況や衝撃の受け方によっては、体の一部分に偏って症状が現れることの方が自然な場合も多いです。

交通事故の痛みが、右半身だけ・左半身だけに出ることはある?

痛みが片側に偏る理由

交通事故の痛みが体の片側に集中する主な理由は、事故時の状況や身体の反応が非対称であるためです。

  • 衝突の方向と衝撃の受け方:
    • 側面衝突(Tボーン事故): 車の側面から衝撃を受けた場合、衝突された側の体に直接的な負荷が集中します。例えば、左側から追突された場合、体の左側に強い力が加わり、左側の首、肩、腰、脚などに痛みが出やすくなります。
    • 斜めからの追突: 後方からの追突でも、真後ろではなく斜めから衝撃が加わった場合、体の片側がより大きくひねられたり、衝撃を吸収したりすることになります。
    • 衝突時の姿勢: 事故の瞬間、ハンドルを握っていた手の位置、シートベルトの食い込み方、体がシートに押し付けられる角度、頭が向いていた方向などによって、体の特定の部位に非対称な力が加わります。例えば、右を向いた状態で衝突された場合、首の左側がより大きく引き伸ばされたり、圧迫されたりすることがあります。
  • シートベルトによる負荷:
    • シートベルトは命を守るために不可欠ですが、その特性上、衝突時にはベルトが通る肩や胸、骨盤などに強い圧迫や牽引力がかかります。これにより、ベルトが当たる側の筋肉や骨、靭帯に損傷が生じ、片側だけの痛みとして現れることがあります。特に、斜め方向からベルトが食い込むことで、左右差が生じやすくなります。
  • 運転操作による負荷:
    • ドライバーの場合、衝突の瞬間にハンドルを握りしめたり、ブレーキを強く踏んだりといった防御的な姿勢や反射的な動作をとります。これにより、片側の腕や肩、あるいは股関節や膝に、通常以上の負荷がかかり、損傷を引き起こすことがあります。
  • 神経の損傷や圧迫:
    • 事故の衝撃で、脊椎(背骨)やその周囲の組織が損傷し、特定の神経根が圧迫されたり、炎症を起こしたりすることがあります。神経の圧迫や損傷は、支配する領域に沿って片側の痛みやしびれ、麻痺といった症状を引き起こします。例えば、首の神経が左側で圧迫されれば、左腕や左手のしびれや痛みが出ることがあります。
  • 元々の身体の歪みや癖:
    • 事故以前から持っていた体の歪み、姿勢の癖、あるいは過去の怪我などがあると、事故の衝撃を受けた際に、弱い部分や負担がかかりやすい部分に症状が集中することがあります。これにより、左右どちらかの半身に痛みが出やすくなることがあります。

 

片側だけの痛みに伴う症状

片側の痛みだけでなく、以下のような症状も同時に現れることがあります。

  • しびれや麻痺: 神経症状として、片側の手足にしびれや感覚の鈍さ、力が入りにくいなどの麻痺症状が現れることがあります。
  • 筋力の低下: 痛む側の筋力が低下したり、動かしにくくなったりすることがあります。
  • 可動域の制限: 痛む側の関節の動きが悪くなったり、特定方向に動かすと痛みが増したりすることがあります。
  • 自律神経系の症状: むちうち症の場合、痛みのある側に頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気などの自律神経症状が伴うこともあります。

 

まとめと注意点

交通事故による痛みは、事故状況と身体への衝撃の受け方によって、左右どちらか一方の半身に偏って現れることは非常に一般的です。 痛みを感じる部位が片側だけだからといって、「軽症だ」「気のせいだ」と自己判断せずに、必ず医療機関を受診し、詳細な検査と診断を受けることが重要です。

特に、事故直後には痛みがなくても、数日〜数週間経ってから症状が現れる「遅発性」のケースも多いため、異変を感じたら速やかに整形外科などの専門医に相談しましょう。早期の適切な診断と治療が、症状の悪化を防ぎ、後遺症のリスクを軽減するために不可欠です。