ぎっくり腰とデュアルモニターの意外な関係性

ぎっくり腰について
最近では、仕事やプライベートでデュアルモニター(マルチモニター)を使用する方が増えています。

作業効率の向上に役立つ一方で、実はデュアルモニターの配置や使用方法によっては、ぎっくり腰のリスクを高める可能性があることをご存知でしょうか。

デュアルモニターは、正しく使わないと、体に悪影響となるケースが多いです。

情報をまとめてみますね。

ぎっくり腰とデュアルモニターの意外な関係性

デュアルモニターがぎっくり腰に影響を与えるメカニズム

デュアルモニターがぎっくり腰のリスクを高める主な要因は、不適切な姿勢の誘発と、それによる腰への負担の蓄積にあります。

  1. 首や体の不自然なねじり・傾き:
    • デュアルモニターを使用する際、多くの人がどちらかのモニターをメインとし、もう一方のモニターをサブとして配置します。
    • この時、メインモニターとサブモニターを頻繁に切り替えて見る際に、首や体を左右にねじったり、片側に傾けたりする動作が習慣化しやすいです。
    • 特に、メインモニターを正面に置き、サブモニターを横に配置した場合、サブモニターを見るたびに、首だけでなく、上半身全体が常に同じ方向にねじれた状態になります。
    • この不自然なねじれや傾きは、腰椎(腰の骨)やその周囲の筋肉、靭帯に継続的なストレスを与え、疲労を蓄積させます。 特定の筋肉ばかりが緊張し、血行不良を招くことで、筋肉が硬くなり、ぎっくり腰を発症しやすい状態を作り出してしまいます。
  2. 姿勢の崩れと前傾姿勢:
    • 複数のモニターに集中するあまり、無意識のうちに画面に顔を近づけるような前傾姿勢になったり、背中が丸まって猫背になったりすることがあります。
    • 前傾姿勢や猫背は、腰への負担を増大させ、腰椎の自然なS字カーブを崩します。これにより、腰椎椎間板への圧力が不均等にかかり、腰痛やぎっくり腰のリスクを高めます。
  3. 長時間の同一姿勢:
    • デュアルモニターによって作業効率が向上すると、それだけ長時間、同じ姿勢で作業を続けてしまいがちになります。
    • 長時間同じ姿勢でいることは、腰回りの筋肉の血行不良を招き、筋肉の柔軟性を低下させます。休憩を挟まずに作業を続けることで、疲労が蓄積し、急な動作でぎっくり腰を発症するリスクが高まります。

デュアルモニターがぎっくり腰の一因となった症例:Aさんの場合

患者情報:
  • 名前: Aさん (30代後半、男性)
  • 職業: IT企業のシステムエンジニア(デスクワーク中心)
  • 生活習慣: 週5日以上、1日8~10時間程度PC作業を行う。自宅でも趣味でPCを使用することが多い。運動習慣は特になし。
症状:

ある朝、ベッドから起き上がろうとした際に、突然、腰の中央から右側にかけて激しい痛みが走り、体を起こすことが困難になった。

寝返りを打つこともままならず、何とか立ち上がろうとすると激痛が走るため、前かがみの姿勢でしか動けなくなった。過去にも数回、軽い腰の違和感はあったが、今回ほどの強い痛みは初めて。

発症前の状況:

Aさんは仕事の効率化のため、数ヶ月前から自宅のPC環境にデュアルモニターを導入していました。メインモニターを正面に置き、その右側にサブモニターを配置していました。

日常の作業では、メインモニターでコードを書いたり資料を作成したりし、サブモニターでは参照資料やチャットツールを表示していました。

参照資料の確認やチャットへの返信の際、頻繁に顔と体を右にひねってサブモニターを見る習慣がついていました。

特に発症前日は、プロジェクトの締め切りが近く、長時間(約12時間)にわたり、休憩もほとんど取らずにデュアルモニター環境で作業に没頭していました。

この間、無意識のうちに体を右にひねり、前のめりになるような姿勢が続いていたと後に振り返っています。また、終業後も疲労感があったにもかかわらず、寝る直前までスマートフォンでSNSを閲覧しており、睡眠時間も普段より短めでした。


上記のように、デュアルモニターを使用して、頑張ってお仕事・作業等を行っている方の中に、ぎっくり腰や寝違えが発生することがあります。

 

デュアルモニター使用時のぎっくり腰予防策

デュアルモニターの利便性を享受しつつ、ぎっくり腰のリスクを低減するためには、以下の対策が非常に重要です。

  1. モニターの適切な配置:
    • メインモニターを体の正面に配置することが最も重要です。
    • サブモニターは、メインモニターのすぐ横に配置し、顔を少し向けるだけで全体が見える範囲にしましょう。理想的には、両方のモニターの中央に体の中心が来るように配置し、顔を少し動かすだけで両方の画面を見られるように調整することが望ましいです。
    • モニターの高さも重要です。モニターの上端が目線の高さになるように調整し、首を大きく上下に動かさないようにしましょう。モニターアームなどを活用するのも有効です。
  2. 正しい姿勢の維持:
    • 椅子に深く座り、骨盤を立てて、背筋を伸ばした正しい姿勢を意識しましょう。
    • 背もたれのある椅子を使用し、腰にクッションを当てるなどして、腰椎の自然なカーブをサポートすることも有効です。
    • 定期的に自分の姿勢をチェックし、崩れていないか確認する習慣をつけましょう。
  3. こまめな休憩と運動:
    • デュアルモニターで集中しがちになりますが、1時間に1回程度は休憩を取り、席を立って軽く体を動かすようにしましょう。
    • 肩や首、腰回りの簡単なストレッチを行うことで、筋肉の緊張をほぐし、血行を促進できます。
  4. 環境設定の見直し:
    • 椅子、机、キーボード、マウスなど、作業環境全体が自分の体格や作業スタイルに合っているかを見直しましょう。エルゴノミクス(人間工学)に基づいた製品の導入も検討する価値があります。

デュアルモニターは作業効率を高める便利なツールですが、その使い方によっては腰に大きな負担をかける可能性があります。

日頃から姿勢や休憩の取り方に意識を向けることで、ぎっくり腰のリスクを効果的に低減し、快適な作業環境を維持しましょう。