「接骨院（整骨院）」と「整体院」は、どちらも体の不調を改善するための施設として認識されていますが、法的な位置づけ、施術者の資格、施術内容、保険適用の有無において明確な違いがあります。
この違いを理解することは、自身の症状に合った施設を選ぶ上で非常に重要です。
接骨院と整体院、何が違うの？
法的な位置づけと施術者の資格
最も大きな違いは、これら施設の法的根拠と、施術を行うために必要な資格です。
- 接骨院（整骨院）：
- 「柔道整復師」という国家資格を持つ専門家が施術を行います。
- 厚生労働省が定める「柔道整復師法」に基づき、開設が許可された医療機関の一種です。
- 医療系の国家資格であるため、人体に関する専門知識や、骨折、脱臼などの外傷に関する知識が豊富です。
- 整体院：
- 国家資格は不要です。施術を行うために特別な公的な資格は定められていません。
- 法的な規制が緩いため、誰でも比較的容易に開業できます。
- 民間資格や独自の技術を習得した人が施術を行いますが、その内容は施術者によって大きく異なります。
施術内容と専門分野
それぞれの施設が専門とする症状や施術のアプローチにも違いがあります。
- 接骨院（整骨院）：
- 主に骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷（肉離れ）といった、外傷性の急性症状の治療を専門とします。スポーツ中のケガや、日常生活での転倒などによる急な痛み（ぎっくり腰、寝違えなど）が主な対象です。
- 施術は、骨の整復、患部の固定（包帯、テーピングなど）、手技療法、物理療法（電気治療、温熱療法など）が中心となります。
- 急性期の痛みや炎症を抑え、早期回復を目指すことが目的です。
- 整体院：
- 主に骨盤の歪み、姿勢の改善、肩こり、慢性的な腰痛、疲労回復など、慢性的な症状や体のバランスの調整を目的とした施術を行います。
- 施術方法は多岐にわたり、骨格矯正、筋肉のほぐし、ストレッチ、O脚・X脚の改善、自律神経の調整など、各整体院が独自の理論や技術を用いています。
- 根本的な体質改善や、不調の予防、リラクゼーションに重点を置いていることが多いです。
保険適用の有無
施術費用における保険適用の有無も、両者の大きな違いです。
- 接骨院（整骨院）：
- 急性期の骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷といった外傷に対しては、健康保険が適用されます。ただし、骨折や脱臼の応急処置以外は、医師の同意が必要な場合があります。
- 肩こりや慢性的な腰痛など、外傷ではない、または原因が特定できない慢性症状については、原則として保険適用外となり、自費診療となります。
- 整体院：
- 基本的に健康保険は適用されません。 施術費用は全額自己負担となります（自費診療）。
- これは、整体が医療行為とは異なる、民間のサービスとして位置づけられているためです。
まとめと選び方のポイント
| 項目 | 接骨院（整骨院） | 整体院 |
| 法的根拠 | 柔道整復師法に基づく医療機関 | 民間施設（法的規制が緩い） |
| 施術資格 | 柔道整復師（国家資格） | 国家資格は不要（民間資格、独自の技術） |
| 主な対象 | 骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷などの急性外傷 | 慢性的な肩こり、腰痛、姿勢改善、疲労回復など |
| 保険適用 | 急性外傷には適用される場合がある | 基本的に適用されない（自費診療） |
急なケガや痛みの場合は、まずは接骨院（整骨院）を受診し、適切な処置を受けるのが良いでしょう。特に骨折や脱臼が疑われる場合は、レントゲンなどの精密検査が必要な場合もあるため、まずは整形外科を受診することも検討してください。
