接骨院では、膠原病の痛みは治せるの?

質問数が多い項目【接骨院編】
結論として、接骨院では膠原病の痛みを「治す」ことはできません。
膠原病は自己免疫の異常による全身性の疾患であり、その根本的な治療は医師による専門的な診断と薬物療法が不可欠です。
接骨院で施術を行う柔道整復師は、主に外傷性の怪我の治療を専門としており、膠原病のような内科的疾患の根本治療は専門外となります。

膠原病は、病院での治療が必要。

1.膠原病とはどのような病気か

膠原病は、全身の結合組織(体を構成する細胞と細胞をつなぐ組織)に炎症や変性が起こる病気の総称です。

  • 自己免疫疾患: 免疫システムが誤って自分自身の体を攻撃してしまう「自己免疫疾患」に分類されます。
  • 症状の多様性: 全身の様々な臓器に影響を及ぼすため、症状は多岐にわたります。代表的な症状としては、関節の痛みや腫れ、皮膚の発疹、発熱、倦怠感などがありますが、肺、腎臓、血管、筋肉など、多臓器にわたって症状が出ることがあります。
  • 主な病名: 関節リウマチ(最も一般的)、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群、ベーチェット病などが含まれます。
  • 根本治療の必要性: 膠原病は、放置すると臓器障害が進行し、生命に関わることもある病気です。そのため、早期診断と、免疫抑制剤やステロイドなどの薬物療法による専門的な治療が非常に重要です。

 

2.接骨院の役割と限界

接骨院は、急性外傷に対する専門的な知識と技術を持っていますが、膠原病のような慢性・全身性疾患の根本治療は担当できません。

  • 柔道整復師の専門分野: 柔道整復師は、骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷(肉離れ)といった「外傷性の怪我」の施術が専門です。これらの症状に対して、整復、固定、手技療法、物理療法などを用いて、自然治癒力を高めることを目的とします。
  • 診断能力の限界: 柔道整復師には、医師のように血液検査や画像診断(レントゲン、MRIなど)を用いて膠原病の確定診断を行う権限はありません。膠原病の診断には、血液中の自己抗体検査や組織生検など、専門的な検査と医師による総合的な判断が必要です。
  • 薬物療法の不可: 膠原病の治療では、病気の進行を抑えたり、炎症を鎮めたりするために、免疫抑制剤やステロイド、生物学的製剤などの専門的な薬物療法が不可欠です。これらの薬の処方は医師にのみ許された医療行為であり、接骨院では行うことができません。

 

3.膠原病が疑われる場合の適切な受診先

もしご自身やご家族が膠原病かもしれないと疑われる場合は、以下の専門医療機関を速やかに受診してください。

  • リウマチ科: 膠原病全般、特に関節リウマチの診断と治療を専門とします。
  • 膠原病内科: 膠原病全般を専門とする内科です。
  • 総合内科: まずは総合的に診てもらい、専門科への紹介を受けることも可能です。

膠原病は早期発見・早期治療が非常に重要な病気です。自己判断せず、必ず専門の医師に相談し、適切な診断と治療を受けてください。