接骨院で側弯症の「診断」や「根本的な治療」を行うことはできません。
側弯症は、専門的な診断と治療が必要な病態であり、柔道整復師の業務範囲外とされています。
接骨院では、側弯症の検査できる?治せる?
側弯症とは
側弯症とは、脊柱(背骨)が、横方向に弯曲し、かつねじれを伴う病態を指します。大きく分けて、原因不明の「特発性側弯症」(最も多い)と、先天性、神経疾患、筋疾患などが原因となる「症候性側弯症」があります。特に思春期の女子に多く見られ、進行すると体のバランスの崩れや、重度の場合は呼吸機能への影響も考えられます。
接骨院での検査について
接骨院の柔道整復師は、問診や視診、触診などを用いて、患者の体の状態を評価することはできます。
- 異常の「発見」や「示唆」は可能:
- 例えば、背中を触って脊柱の弯曲やねじれに気づいたり、肩の高さや骨盤の左右差に異常があると感じたりすることは可能です。
- このような場合、「側弯症の疑いがあるため、専門医の診察を受けてください」と整形外科への受診を促すことはできます。
- 正確な診断は不可能:
- 側弯症の診断には、X線(レントゲン)撮影が不可欠です。脊柱の弯曲の角度(コブ角)を測定し、その進行度を評価する必要があるからです。
- 接骨院ではX線装置を設置・使用することはできません。そのため、側弯症の正確な診断を下すことはできません。
接骨院での治療について
柔道整復師の業務範囲は、「骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷」といった外傷性の負傷に対する施術に限られています。側弯症はこれら外傷性のものではなく、脊柱の形態的な変形を伴う疾患であるため、柔道整復師が「側弯症を治す」と標榜して治療を行うことは、法的に認められていません。
- 間接的なアプローチは可能だが、治癒はしない:
- 側弯症によって生じる二次的な症状、例えば背中や腰の筋肉のこり、痛みなどに対して、マッサージやストレッチ、電気療法などで一時的に症状を和らげることはできるかもしれません。
- また、体幹のバランスを整えるための運動指導などを行う場合もあります。
- しかし、これは側弯症そのもの(脊柱の弯曲とねじれ)を矯正したり、進行を止めたりする治療ではありません。側弯症が治るわけではありません。
※ただし、保険適応外の施術となります。当院では受け付けておりません。
側弯症が疑われる場合の適切な受診先
子供に側弯症の疑いがある場合や、学校検診などで指摘された場合は、必ず整形外科、特に脊椎の専門医がいる医療機関を受診してください。
- 整形外科での診断:
- レントゲン撮影により、コブ角の測定などを行い、側弯症の有無、種類、重症度を正確に診断します。
- 定期的な経過観察が必要となる場合もあります。
- 整形外科での治療:
- 軽度の側弯症であれば、経過観察や運動療法(体幹トレーニングなど)が中心となります。
- 中等度の側弯症では、装具療法(コルセット)が用いられ、弯曲の進行を抑制します。
- 重度の側弯症や進行が速い場合は、手術療法が検討されます。
まとめ
接骨院は、急性の捻挫や打撲などには有効な施設ですが、側弯症のような骨の構造的変形を伴う疾患の診断や治療は専門外です。お子さんに側弯症の疑いがある場合は、必ず整形外科を受診し、専門医の診断と指示に従うようにしましょう。