接骨院(整骨院も同義)では、保険診療が可能です。
ただし、すべての施術や症状に保険が適用されるわけではなく、適用範囲には明確な基準があります。
接骨院は保険が使える?保険適用なの?
保険適用となる主なケース
接骨院で健康保険が適用されるのは、「急性(または亜急性)の外傷性の負傷」と厚生労働省によって定められています。具体的には、以下のような症状が該当します。
- 骨折: 骨が折れた状態。
- 脱臼: 関節が外れた状態。
- 打撲: 転んだりぶつけたりして、筋肉や軟部組織が損傷した状態(いわゆる「打ち身」)。
- 捻挫: 関節を構成する靭帯や関節包などが損傷した状態(例:足首の捻挫、突き指、寝違えなど)。
- 挫傷: 筋肉や腱が急激な力によって損傷した状態(いわゆる「肉離れ」)。
これらの負傷は、「いつ」「どこで」「何をしていて」負傷したのかが明確な場合に保険適用となります。例えば、「昨日、階段で滑って足首をひねった」「スポーツ中に相手とぶつかって太ももを打った」といった具体的な原因が必要です。
※骨折、脱臼に対する応急処置は医師の同意が必要
保険適用外となる主なケース
以下のようなケースでは、接骨院での保険適用が認められません。
- 慢性的な症状:
- 肩こり、慢性腰痛、加齢による膝の痛みなど、明確な外傷原因がない慢性的な症状は保険適用外です。これらは「疲労」や「体質」によるものとみなされるため、保険は使えません。
- ただし、これらの慢性症状に、急性のぎっくり腰や寝違えが併発した場合は、その急性症状に対してのみ保険が適用されることがあります。
- 原因が不明確な場合:
- 「なんとなく痛い」「いつの間にか痛くなった」など、負傷の原因や日時がはっきりしない症状は保険適用外となります。
- 医療機関で治療中の症状:
- すでに病院やクリニック(整形外科など)で治療を受けている症状に対して、同時に接骨院で保険診療を受けることは原則としてできません(「重複受診」とみなされるため)。ただし、医師の同意があれば一部例外もあります。
- 慰安目的、疲労回復目的:
- マッサージやリラクゼーション、疲労回復を目的とした施術は保険適用外です。
- 症状改善以外の目的:
- 単なる姿勢改善、ボディメイク、スポーツパフォーマンス向上などを目的とした施術も保険適用外となります。
受診時の注意点
接骨院を来院される際は、以下の点に注意してください。
- 原因を正確に伝える: 受付時や問診の際に、負傷した「日時」「状況」「原因」を具体的に、正確に伝えることが重要です。これが保険適用の判断基準となります。
- 同意書の確認: 骨折や脱臼の場合は、応急処置を除き、医師の同意が必要となります。医師の同意を得ずに治療を進めると、保険適用外となる可能性があります。
- 保険適用の確認: 不明な点があれば、施術を受ける前に「この症状は保険が使えますか?」と明確に尋ねて確認しましょう。
接骨院は、急性期の外傷に対して迅速かつ専門的な施術を提供する場所ですが、健康保険の適用にはルールがあります。適切な理解とコミュニケーションで、安心して治療を受けましょう。