接骨院でも労災保険を使って施術を受けることができます。
労災保険は、労働者が業務上や通勤途中に負傷したり病気になったりした場合に、その治療費や休業補償などを給付する国の制度です。
接骨院での施術も、一定の条件を満たせば労災保険の適用対象となります。
接骨院で、労災保険って使えるの?
労災保険が適用される条件
接骨院で労災保険が適用されるのは、以下の両方の条件を満たす場合です。
- 業務上の負傷または通勤中の負傷であること:
- 業務災害: 労働者が業務中に負った傷病。仕事中に転んで捻挫した、作業中に機械で打撲したなどが該当します。
- 通勤災害: 労働者が通勤中に負った傷病。会社への行き帰りでの交通事故などが該当します。
- これらの負傷は、「いつ」「どこで」「何をしていて」負傷したのかが明確である必要があります。
- 柔道整復師の施術範囲内の負傷であること:
- 柔道整復師が保険適用で施術できる範囲は、骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷(肉離れ)といった急性(または亜急性)の外傷性の負傷に限られます。
- 慢性的な肩こりや腰痛、疲労回復目的の施術などは労災保険の対象外です。
労災保険を使って接骨院を受診する流れ
労災保険を使って接骨院を受診する場合、通常の健康保険診療とは異なる手続きが必要になります。
- 会社への報告と労災認定の確認:
- 負傷したら、まずは勤務先に報告し、それが労災である旨を伝えてください。
- 会社を通じて、労働基準監督署に「療養補償給付たる療養の給付請求書」(様式第7号または様式第16号の3)を提出してもらう必要があります。
- 接骨院に労災指定があるか確認:
- 受診を希望する接骨院が労災保険指定施術所であるかを確認してください。指定を受けている接骨院であれば、原則として窓口での自己負担なく施術を受けることができます。※当院は労災保険指定施術所です。
- もし労災指定を受けていない接骨院の場合でも、一度費用を全額支払い、後から労働基準監督署に請求(償還払い)することは可能です。ただし、手続きが煩雑になる場合があります。
- 請求書の提出:
- 上記で触れた労災保険の請求書(様式第7号または様式第16号の3)に必要事項を記入し、会社に証明印をもらってから、接骨院に提出します。
- この請求書がないと、接骨院は労災保険で施術を行うことができません。
- 治療の開始:
- 請求書が提出されれば、接骨院で労災保険を使って施術が開始されます。
- 骨折や脱臼の場合、医師の同意が必要です。この点は健康保険の場合と同じです。
注意すべきポイント
- 医師との連携: 労災保険の治療は、医師の診断や指示が必要となるケースが多いです。特に骨折や脱臼の場合、整形外科医の診察を受け、同意を得てから接骨院での施術を進めるのが一般的です。
- 症状の原因と経過: 労災保険では、負傷の原因や状況、そしてその後の症状の経過が非常に重要視されます。接骨院の柔道整復師には、正確な情報を伝えましょう。
- 長期化する場合: 治療が長期にわたる場合や、後遺症が残る可能性がある場合は、労働基準監督署とのやり取りが増えることがあります。
労災保険は、働く人を守るための重要な制度です。もし業務中や通勤中に怪我をしてしまった場合は、必ず勤務先に報告し、適切な手続きを踏んで接骨院での施術も検討してみてください。