打撲や捻挫などの外傷を負った際、「お風呂に入っても大丈夫?」と疑問に思われる患者さんが多くいらっしゃいます。
結論から申し上げますと、怪我の状態や時期によって入浴の可否や注意点が変わります。
打撲やねんざなど怪我をしたら、お風呂は入って良い?
1. 怪我の直後(急性期:受傷直後から2〜3日程度)
怪我をした直後は、患部で炎症が起こっています。
炎症とは、身体が傷ついた組織を修復しようとする反応で、熱を持ち、腫れや痛みを伴います。この時期に温めてしまうと、以下の問題が生じる可能性があります。
- 炎症の悪化と腫れ・痛みの増強: 温めることで血流が促進され、炎症反応が強まり、腫れや痛みが悪化することがあります。内出血を伴う打撲の場合、さらに出血が広がる可能性もあります。
- 治癒の遅延: 炎症が長引くことで、組織の回復が遅れることがあります。
この時期は、湯船に浸かる入浴は避け、シャワーで済ませるようにしましょう。
- シャワーの注意点: 患部には直接熱いシャワーを当てず、軽く流す程度にしてください。湯気で体が温まるだけでも血流が促進されるため、長時間のシャワーも避けましょう。
2. 炎症が落ち着いた後(慢性期:受傷から数日〜1週間程度、またはそれ以降)
腫れや熱感が引き、痛みが軽減してきたら、温めることが有効になる場合があります。
この時期になると、血流を促進することで、損傷した組織への酸素や栄養の供給が促され、老廃物の排出も進むため、治癒を早める効果が期待できます。
- 入浴の可否: 患部を温めたときに痛みが強くなければ、湯船に浸かっても構いません。ただし、急に熱いお湯に浸かるのではなく、ぬるめのお湯から徐々に体を温めるようにしましょう。
- 温湿布との併用: 患部の痛みが残る場合は、入浴後に温湿布を貼るのも効果的です。
- 温冷交代浴: 痛みが引いてきたら、温かい湯と冷たいシャワーを交互に浴びる「温冷交代浴」も血流改善に役立ちます。ただし、身体への負担も大きいため、体調が悪い時は避けましょう。
3. 入浴を控えるべき場合
以下のような場合は、時期に関わらず入浴を控えるか、医師に相談してください。
- 出血が続いている傷がある場合: 湯船に細菌が入る可能性があるため、感染症のリスクが高まります。
- 縫合が必要な深い傷や、広範囲の擦り傷・切り傷がある場合: 同様に感染のリスクや、傷口が開く恐れがあります。かさぶたが完全にできるまではシャワーで済ませましょう。
- 痛みが非常に強い場合: 無理に入浴すると、痛みが悪化する可能性があります。
- 発熱している場合: 全身状態が悪い時に無理に入浴すると、体調をさらに崩す恐れがあります。
- 医師から入浴を禁止されている場合: 治療方針によっては、入浴が推奨されない場合があります。
まとめ
打撲などの外傷がある場合のお風呂は、「怪我の直後はシャワーのみで、患部を温めない」「炎症が治まってから温める」が基本的な考え方です。
ご自身の症状に合わせて適切に対処することが、早期回復につながります。
もし判断に迷う場合は、自己判断せず、ご相談ください。