打撲や捻挫などの怪我で、直後に強い痛みがなく、後から痛みが強くなったり、腫れが出たりすることは十分にあり得ます。
これはいくつか理由が考えられます。
直後に痛くないこともある理由
1. 痛みの感じ方の個人差や一時的な麻痺
怪我をした直後は、脳が衝撃に対応するために一時的に痛みを抑える物質を分泌したり、興奮状態にあることで痛みに気づきにくかったりすることがあります。
特に、スポーツ中や事故直後など、アドレナリンが出ている状況では、痛みが感じにくいことがあります。
2. 炎症反応の時間差
打撲や捻挫では、患部の組織が損傷し、その後に身体の修復反応として「炎症」が起こります。
この炎症反応は、受傷直後からすぐにピークに達するわけではなく、数時間から翌日にかけて徐々に強まることがあります。
炎症が強まるにつれて、痛みや腫れも増していくため、「直後は大丈夫だと思ったのに、後から痛くなってきた」と感じることがあります。
3. 内出血の進行
打撲や捻挫では、皮膚の下の血管が損傷して内出血を起こします。
この内出血は、受傷直後からすぐに現れるとは限りません。
出血がゆっくりと広がったり、組織の奥深くで起こっている場合は、時間が経ってから青あざとして表面に現れたり、腫れが目立つようになったりすることがあります。
出血が広がるにつれて、組織が圧迫され、痛みも強くなることがあります。
4. 損傷の程度や種類
- 軽度の損傷の場合: 靭帯のごく一部の損傷や、軽微な打撲であれば、直後の痛みはほとんど感じないことがあります。しかし、時間が経って炎症が強まることで痛みが出てくることがあります。
- 骨折の併発: 打撲だと思っていても、実は骨折しているケースも稀ではありません。骨折の場合でも、受傷直後は痛みが軽微で、徐々に増悪することもあります。特に、疲労骨折など、小さなひび割れの場合は、直後の痛みが少ないことがあります。
- 深部の損傷: 筋肉の深部や骨の近くでの損傷の場合、表面にはすぐに症状が現れず、後から痛みや腫れとして出てくることがあります。
症状に注意すべき点
- 痛みが遅れてくる場合: 直後に痛みがなくても、数時間後や翌日以降に痛みや腫れが増してきた場合は、軽視せずに様子を見てください。
- 内出血や変色: 青あざが広がる、患部が赤く腫れるなどの変化が見られたら、内出血を伴う損傷の可能性が高いです。
- 患部の不安定感: 特に捻挫の場合、直後は大丈夫だと思っていても、後から足首がグラグラするなど不安定な感じがする場合は、靭帯の損傷が疑われます。
- 日常生活に支障が出る痛み: 歩くのがつらい、動かせないなどの痛みが出た場合は、専門機関の受診を検討しましょう。
まとめ
たとえ怪我の直後に痛みがなくても、「大したことはない」と自己判断せずに、しばらく様子を見て、もし後から痛みや腫れなどが現れた場合は、当院にご相談ください。
早期に適切な処置を行うことが重要です。