子供も脱臼します。
特に、乳幼児期から小学校低学年のお子さんは、大人とは異なる理由で特定の関節の脱臼を起こしやすい傾向があります。
子供も、脱臼するの?
子供の脱臼の主な種類と原因
子供の脱臼は、その発達段階と体の特徴から、特定の関節で起こりやすいです。
- 肘内障(ちゅうないしょう):
- どんな怪我?: 乳幼児から未就学児に最も多く見られる脱臼の一種で、厳密には亜脱臼(関節が完全に外れるのではなく、少しずれた状態)です。肘関節の骨(橈骨)が、周囲の靭帯から一時的に外れてしまうことで起こります。
- 原因: まだ靭帯が緩い時期に、保護者がお子さんの手をつないで強く引っ張ったり、持ち上げたりする際に最も多く発生します。また、転倒して手をついた際や、寝返りの際に起こることもあります。
- 症状: 突然腕を痛がり、泣き出すことが多いです。腕をだらんと下げたまま動かそうとせず、肘を曲げるのを嫌がります。見た目に大きな変形がないため、親御さんが気づきにくいこともあります。
- 肩関節脱臼:
- どんな怪我?: 肩の関節が正常な位置から外れてしまう状態です。大人に比べて頻度は少ないですが、スポーツ中の転倒や衝突で起こることがあります。
- 原因: スポーツ中や遊んでいる最中の転倒で手をついた際や、肩への直接的な強い衝撃によって発生します。
- 症状: 激しい痛み、肩の変形(丸みがなくなる)、腕を動かせない、しびれなどが見られます。
- 指の関節脱臼:
- どんな怪我?: 指の関節が外れてしまう状態です。
- 原因: 球技(バスケットボール、バレーボールなど)でボールが指に強く当たったり、転んで手をついた際に指に不自然な力が加わったりすることで起こります。
- 症状: 激しい痛み、関節の変形、指を曲げ伸ばしできないなどが見られます。
子供の脱臼の主な症状
脱臼をすると、どの関節でも共通して以下のような症状が見られます。
- 激しい痛み: 関節が外れた瞬間に強い痛みが走り、動かそうとするとさらに痛みが強まります。
- 関節の変形: 骨が正常な位置からずれるため、関節の形が変わり、見た目にもわかる変形が生じます。
- 関節の動きの制限(可動域の喪失): 関節が外れているため、自力で関節を動かすことができません。
- 腫れ(腫脹): 関節の周りの組織が損傷し、炎症が起こるため、患部が腫れてきます。
- 内出血(青あざ・皮下出血): 関節周囲の血管が損傷し、内出血が起こり、青あざとして現れることがあります。
- しびれや麻痺(神経損傷の可能性): 脱臼によって周囲の神経が圧迫されたり、損傷したりすると、患部からその先にかけてしびれや感覚の麻痺が生じることがあります。これは緊急性の高い症状です。
※肘内障では、見た目の症状はあまり出ないことが多いです。
子供の脱臼が疑われる場合の注意点
お子さんの脱臼は、自己判断で元に戻そうとすると、神経や血管を傷つけたり、骨折を併発させたりする危険があるため、絶対に行わないでください。
- 自分で無理に元に戻さない: 専門知識のない人が整復しようとすると、かえって状態を悪化させる可能性があります。
- できるだけ動かさない: 患部を動かさないように固定し、すぐに医療機関を受診してください。