小さなお子さんの腕が、
何かの拍子に引っ張られてしまい
脱臼のような状態になってしまうことがあります。
肘のところが引っ張られるのですが、
専門用語で肘内障(ちゅうないしょう)と呼びます。
僕のところには小さな患者さんも多くいらっしゃいますが、
1歳~4歳前後のお子さんがこの状態で来院されるケースが多いです。
ぶつけたり転倒していないのに、
突然、腕を動かさなくなったと同時に
大声で泣き始めたら怪しいと思います。
お子さんの腕を挙げさせようと思うと、
泣き声が大きくなるのも特徴です。
お子さん自身は、
自分では腕を動かそうとしなくなります。
子供の肘関節は抜けやすい構造
小さなお子さんの肘の関節は、
もともと抜けやすい構造をしています。
肘の外側に「橈骨(とうこつ)」という骨があって、
その骨を「輪状靭帯(りんじょうじんたい)」という
靭帯が覆っています。
大人の場合は、骨を靭帯ががっちりと抑えているのですが、
小さな子どもの場合は、骨の成長がまだまだなので、
靭帯に抑えられていないような状態になっています。
関節がゆるくなっているというか、
すぽっと抜けやすくなっています。
日常生活を送るのには問題ありませんが、
急に引っ張られてしまうと
靭帯から骨がすっぽ抜けて関節が外れてしまいます。
お父さん・お母さんに腕を引っ張られて発生しやすい
原因として多いのが、
ご両親と遊んでいるときに
腕が抜けてしまうことです。
遊んでいるときに腕を掴んだまま
振り回してしまうと、
お子さんの肘が抜けることがあります。
お子さんがバンザイしている状態で、
急に腕を引っ張ってしまうと
外れてしまうリスクが高まると思います。
また、お子さんが走り出してしまうのを、
腕を掴んで止めようとしたときに
肘が抜けてしまうことも多いです。
今まで何の問題もなかったのに、
突然、抜けてしまうケースも多くあります。
ソファから子供が降りるときにも発生しやすい
お子さんがソファから降りようとしたときに、
お子さん自身の体重を支えきれずに
腕が引っ張られて外れるケースもあります。
腕で体重を支えきれず、
スポッと抜けてしまう状態です。
それまで何の問題もなかったのに、
ソファや椅子の前で痛がって
泣いている素振りをしていたら要注意です!!
お菓子orおもちゃをあげてチェックする
お子さんの肘を元通りにしてあげたあとは、
必ず動きが正常になったかどうかを
チェックする必要があります。
関節が抜けてしまっている間は、
お菓子やおもちゃを渡そうと思っても
お子さんたちは見向きもしません。
仮に、右腕が抜けてしまっていたとしたら、
左腕だけでおもちゃを取ろうとしてきます。
関節が元通りになったときには、
お菓子やおもちゃを右腕側から渡すと、
しっかりと右腕を挙げるようになります。
おもちゃやお菓子を渡すのも、
検査法の一つです。