交通事故で頭を打ったら、どうすれば良い?

交通事故について
交通事故で頭を打った場合、たとえ軽微に見えても、その後の対処は非常に重要です。

外見上は問題がなさそうでも、体内で深刻な損傷が起きている可能性があり、すぐに適切な対応をしないと命に関わる場合や、後遺症につながる可能性があります。

接骨院ではなく、病院・医療機関を必ず受診してください。

交通事故で頭を打った場合の対処法

1.事故直後の緊急対応

事故直後、まずは自身の安全を確保し、状況を冷静に把握することが大切です。

  • 意識の確認と安全確保:
    • まず、自分自身や同乗者、周囲の人の意識がはっきりしているか、呼びかけに反応するかを確認します。
    • もし意識がない、または朦朧としている場合は、無理に動かさず、安全な場所に移動できるか慎重に判断してください。周囲に車が来ないかなど、二次的な事故を防ぐための安全を確保しましょう。
    • 可能な限り、ヘルメットやシートベルトは外さないでください。頭部や頚部(首)の損傷が悪化する可能性があります。
  • 救急車の要請(119番通報):
    • 意識がない、呼びかけに反応しない、嘔吐している、けいれんがある、手足が麻痺しているなどの症状が一つでも見られる場合は、直ちに救急車(119番)を要請してください。
    • 頭部を打った場合は、たとえ意識があっても、「大丈夫です」と安易に判断せず、専門家による診察を受けるべきです。後から症状が出現することがあります。
  • 警察への連絡(110番通報):
    • 事故の大小に関わらず、警察(110番)に連絡し、事故状況を報告してください。これは保険の手続き上も不可欠です。

 

2.病院での受診と精密検査

救急搬送されなかった場合でも、必ず病院を受診し、適切な検査を受けることが重要です。

  • 脳神経外科または救急科の受診:
    • 頭部を打った場合は、脳神経外科または救急科のある病院を速やかに受診してください。一般の内科や整形外科では、頭部の専門的な診断が難しい場合があります。
    • 症状がなくても、頭を打ってから少なくとも24時間~72時間は特に注意が必要です。この間に症状が悪化することがあります。
  • 行われる検査:
    • CT検査: 頭蓋骨骨折や脳内出血の有無を迅速に確認するために行われます。特に意識障害がある場合や、頭痛・嘔吐などの症状がある場合に重要です。
    • MRI検査: 脳挫傷(脳の損傷)、びまん性軸索損傷(脳の広範囲な損傷)、一部の小さな出血など、CTでは見えにくい病変を発見するために行われることがあります。
    • X線(レントゲン)検査: 頭蓋骨骨折の確認などに行われる場合があります。
    • 医師による神経学的診察: 意識レベル、瞳孔の状態、手足の動き、反射などを確認し、脳の機能に異常がないかを評価します。
  • 注意すべき症状(遅れて現れる場合がある):
    • 頭痛の悪化: 時間が経つにつれて頭痛がひどくなる。
    • 吐き気・嘔吐: 何度も吐いてしまう、または吐き気が続く。
    • 意識レベルの変化: 意識が朦朧とする、眠気が強い、呼びかけへの反応が鈍くなる。
    • 手足のしびれや麻痺: 片方の手足に力が入らない、感覚がおかしい。
    • けいれん: 体がピクピクする、硬直する。
    • めまい、ふらつき: まっすぐ歩けない。
    • 視覚の異常: 物が二重に見える、視野が狭くなる。
    • 言葉の異常: ろれつが回らない、言葉が出にくい。
    • 記憶障害: 事故前後の記憶がない、新しいことを覚えられない。
    • 性格の変化: 怒りっぽくなる、無気力になるなど。これらの症状は、数時間後から数日後、場合によっては数週間後に現れることもあるため、退院後も注意深く観察する必要があります。

 

3.診断後の経過観察とリハビリテーション

診断が下された後も、医師の指示に従い、慎重に回復を図る必要があります。

  • 医師の指示に従う:
    • 診断結果に基づき、医師から安静期間、服薬、通院などの指示が出されます。自己判断で治療を中断せず、医師の指示に必ず従ってください。
    • 入院が必要な場合や、定期的な外来受診の指示が出される場合もあります。
  • 家族や周囲の協力:
    • 頭部外傷後は、本人も自覚しにくい症状が出ることがあります。家族や同居している人が、患者さんの様子を注意深く観察し、異変があればすぐに医療機関に連絡できる体制を整えることが重要です。
    • 特に、高次脳機能障害(記憶、注意、思考、行動などの障害)は、事故直後には分かりにくく、社会復帰後に問題となるケースがあります。
  • リハビリテーション:
    • 必要に応じて、高次脳機能障害やバランス感覚の障害などに対し、専門的なリハビリテーションが行われることがあります。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが協力して、機能回復をサポートします。

交通事故で頭を打った際は、「大丈夫だろう」と過信せず、必ず医療機関を受診し、専門医の診断を受けることが、自身の健康と将来を守る上で最も重要な行動です。