一般的に、ぎっくり腰自体が直接的な高熱を引き起こすことは稀ですが、いくつかの原因や状況によっては発熱を伴うことがあります。
外傷によって発生する発熱についてまとめていきます。
ぎっくり腰で熱が出ることはある?発熱の原因と対処
ぎっくり腰で発熱が見られるケースとその原因
強い炎症反応による微熱
ぎっくり腰は、腰の筋肉、靭帯、関節などに急性の損傷や炎症が起きている状態です。
体が炎症を起こすと、その防御反応として軽い発熱(微熱、一般的に37℃台前半)が見られることがあります。これは、体が損傷部位を修復しようと働く過程で、炎症性サイトカインなどの物質が放出されるためです。
この場合の発熱は一時的で、痛みと共に徐々に落ち着いていくことが多いです。
痛みのストレスによる自律神経の乱れ
激しい痛みや、突然動けなくなるという状況は、体にとって大きなストレスとなります。ストレスは自律神経のバランスを乱し、体温調節機能に影響を与えることがあります。
これにより、一時的に体温が上昇し、微熱や悪寒を感じることがあります。
精神的な緊張や不安も、発熱感につながることがあります。
基礎疾患や合併症による発熱
ぎっくり腰と同時に、あるいはぎっくり腰をきっかけに、別の病気が発症している、または悪化している可能性も考えられます。
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- 感染症: 風邪やインフルエンザなどの感染症にかかっていると、ぎっくり腰とは別に発熱症状が出ます。
- 細菌感染: 稀ですが、椎間板炎や脊椎炎など、脊椎に細菌感染が起こると高熱を伴うことがあります。
- 腎盂腎炎(じんうじんえん)などの泌尿器系の病気: 腰痛と発熱を伴うことがあり、ぎっくり腰と症状が似ているように感じられることがあります。
- 内臓疾患: 膵炎や胆のう炎など、内臓の病気が腰痛と発熱として現れることもあります。
痛み止めによる発熱(副作用)
ごく稀ですが、服用している痛み止め(特に非ステロイド性消炎鎮痛剤など)の副作用として、発熱や薬疹などの症状が出ることがあります。
発熱時の対処と受診の目安
ぎっくり腰で発熱を伴う場合、まずは落ち着いて体温や他の症状を確認することが重要です。
- 微熱(37℃台前半)の場合
- ぎっくり腰の強い炎症反応やストレスによる一時的なものである可能性が高いです。
- 対処: 患部を冷やす(急性期の場合)、安静にする、水分をしっかり摂るなど、ぎっくり腰の基本的な対処を続けましょう。無理に解熱剤を飲む必要はありませんが、つらい場合は医師に相談してください。
- 様子を見る目安: 発熱が数時間から1日程度で落ち着き、痛みも徐々に改善傾向にあるなら、引き続き安静に努めましょう。
- 高熱(38℃以上)の場合や、微熱でも長引く場合
- ぎっくり腰以外の原因が潜んでいる可能性が高まります。特に、以下のような症状が伴う場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 38℃以上の高熱が続く
- 寒気や震えが止まらない
- 腰痛が激しく悪化する
- 足にしびれや麻痺がある
- 排尿・排便に異常がある(頻尿、排尿困難、尿漏れ、便失禁など)
- 食欲不振や倦怠感が強い
- 呼吸器症状(咳、鼻水など)や他の体の不調がある
- ぎっくり腰以外の原因が潜んでいる可能性が高まります。特に、以下のような症状が伴う場合は、速やかに医療機関を受診してください。
受診の目安:
整形外科を受診することが基本ですが、発熱の他に風邪のような症状がある場合は内科も検討できます。腰以外の場所に強い痛みや症状がある場合は、その部位に応じた専門科の受診も必要になることがあります。
対処: 受診までの間は、無理せず安静にし、体温や他の症状を記録しておくと、診察時に役立ちます。
重要なポイント
ぎっくり腰で発熱を伴うことは稀ですが、もし発熱が見られた場合は、その熱がぎっくり腰による炎症反応の範囲内なのか、それとも別の病気を示唆しているのかを慎重に判断する必要があります。
特に、高熱や他の神経症状を伴う場合は、自己判断せずに必ず医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。