台風の前など、天気が悪くなると怪我が、痛むのはなぜ?

質問数が多い項目【症状編】

打撲や捻挫といった過去のケガが、天候の変化、特に悪天候になる前に痛むことは、多くの方が経験する現象であり、医学的にも関連性が指摘されています。

これは「気象病」や「天気痛」と呼ばれるものの一種と考えられています。

怪我が、台風の前など、天気が悪くなると痛むのはなぜ?

なぜ天候で痛みが変わるのか?

天候の変化によって体が痛みを感じやすくなるメカニズムは複雑で、複数の要因が絡み合っていると考えられています。

  • 気圧の変化: 最も有力な説とされているのが、気圧の変化です。悪天候になる前は、一般的に気圧が低下します。この気圧の変化を体が感知し、体内の水分バランスや血流に影響を与えると考えられています。
    • 体内の細胞や組織にかかる圧力が変化することで、過去のケガで組織が損傷した部位や、炎症が残っている部位が膨張しやすくなり、周囲の神経を刺激して痛みを感じると考えられています。特に、関節や筋肉、靭帯などが損傷した部位は、健康な組織に比べて気圧の変化に敏感に反応しやすいとされています。
  • 自律神経の乱れ: 気圧の変化は、私たちの体の機能を調整する自律神経にも影響を与えます。自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスによって成り立っていますが、気圧の変化が起こると、このバランスが乱れやすくなります。
    • 自律神経の乱れは、血管の収縮や拡張、痛みを抑制する物質の分泌などに影響を及ぼし、痛みの感じ方を増強させる可能性があります。
  • 湿度の変化: 湿度が高いと、体から水分が蒸発しにくくなり、むくみやすくなります。むくみが生じることで、患部周辺の神経が圧迫され、痛みが悪化することがあります。
  • 気温の変化: 気温が急激に下がると、体が冷え、血管が収縮しやすくなります。血行が悪くなると、痛みを感じる物質が滞りやすくなり、痛みが悪化することがあります。特に、筋肉や関節の動きが悪くなることで、痛みを強く感じることがあります。

 

どのような痛みが生じやすいか?

天候によって痛みを感じやすいのは、主に以下のようなケースです。

  • 骨折の既往がある部位: 過去に骨折した部位は、たとえ完治していても、骨の内部構造が変化しているため、気圧の変化に反応しやすいことがあります。
  • 捻挫や打撲で組織が損傷した部位: 靭帯や筋肉、関節包などが損傷した部位は、完全に元の状態に戻らない場合があり、微細な炎症や線維化(組織が硬くなること)が残っていることがあります。これらの部位が気圧や湿度の影響を受けやすいとされています。
  • 関節の痛み: 特に膝や股関節など、体重がかかる関節の古傷は、天気痛として現れやすい傾向があります。

 

痛みを和らげるための対策

天候による痛みを完全に防ぐことは難しいですが、症状を和らげるための対策はいくつかあります。

  • 患部を温める: 悪天候で痛みが出る前に、または痛みが出始めたら、患部を温めることで血行を促進し、痛みを和らげることができます。温湿布、蒸しタオル、入浴などが有効です。
  • 適度な運動とストレッチ: 血行を良くし、関節や筋肉の柔軟性を保つために、無理のない範囲で体を動かすことが大切です。特に、天気痛が起こりやすい時期は、軽いストレッチやウォーキングを心がけましょう。
  • 体を冷やさない: 冷えは痛みを増悪させるため、防寒対策をしっかり行い、体を冷やさないようにしましょう。
  • 自律神経を整える: 十分な睡眠、バランスの取れた食事、ストレスの軽減など、規則正しい生活を心がけることで、自律神経のバランスを整えることができます。
  • 痛み止めの活用: 痛みが強い場合は、市販の痛み止めや、医師から処方された薬を適切に服用することも有効です。
  • 医療機関への相談: 痛みがひどい場合や、日常生活に支障が出る場合は、整形外科や専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

天気痛は、個人差が大きい症状ですが、ご自身の体の変化に注意を払い、早めに対策を講じることで、痛みを軽減できる可能性があります。