バスケットボールは、走る、跳ぶ、急停止する、方向転換する、接触するといった激しい動きが多いスポーツです。そのため、様々な外傷や怪我が発生しやすい特性があります。
特に、下半身の怪我が多い傾向にあります。
バスケットボールに関する怪我の情報をまとめていきます。
※接骨院では施術困難な外傷・怪我も情報として、まとめさせていただきます。
バスケットボールで発生しやすい外傷・怪我
バスケットボールでよく見られる怪我を、主な部位ごとに分けて解説します。
1. 足首の怪我(最も多い)
バスケットボールの怪我の中で最も発生頻度が高いのが足首の怪我です。
- 足関節捻挫(そくかんせつねんざ)
- 症状: 足首の痛み、腫れ、内出血。ひどい場合は体重をかけられない。
- 原因: ジャンプの着地時や急な方向転換時に、足首を内側(内反捻挫が圧倒的に多い)にひねってしまうことで発生します。相手の足に乗ってしまう「接触型」と、単独でバランスを崩す「非接触型」があります。
- 対処: RICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)が基本です。医療機関を受診し、靭帯の損傷度合いを確認することが重要です。重度の場合、固定やリハビリテーション、まれに手術が必要となります。
2. 膝の怪我
膝はバスケットボールにおいて、ジャンプや着地、急停止、方向転換の際に大きな負担がかかる部位です。
- 前十字靭帯損傷(ぜんじゅうじじんたいそんしょう)
- 症状: 受傷時に「ブチッ」という断裂音や感覚がある、膝の激しい痛みと腫れ、膝が不安定でガクガクする(膝くずれ)。
- 原因: ジャンプの着地時や急な方向転換時に、膝が不自然な形でねじれたり、過度に伸びたりすることで発生します。非接触型が多いですが、接触によって起こることもあります。
- 対処: 手術が必要となる場合がほとんどです。受傷後はRICE処置を行い、速やかに整形外科を受診しましょう。長期のリハビリテーションが必要です。
- 半月板損傷(はんげつばんそんしょう)
- 症状: 膝の痛み、引っかかり感、ロッキング(膝が曲がったまま伸びない)、膝の腫れ。
- 原因: ジャンプの着地や方向転換時に膝がねじれたり、膝関節に衝撃が加わったりすることで、膝のクッションである半月板が損傷します。
- 対処: RICE処置後、整形外科を受診し、損傷の程度を診断してもらいます。保存療法(リハビリ、薬)で改善しない場合は手術が検討されます。
- 膝蓋腱炎(しつがいけんえん)/ ジャンパー膝
- 症状: 膝のお皿のすぐ下(膝蓋腱部)の痛み。特にジャンプやダッシュ、着地時に痛みが強くなる。
- 原因: ジャンプ動作の繰り返しによる膝蓋腱への過度な負担(オーバーユース)が原因です。成長期の選手に多く見られます。
- 対処: 安静が基本です。アイシング、ストレッチ、大腿四頭筋の強化、膝バンドの使用などが有効です。痛みが引かない場合は医療機関を受診しましょう。
3. 太もも・ふくらはぎの怪我
急激な加速や減速、跳躍動作で負担がかかります。
- 肉離れ(筋挫傷)
- 症状: 運動中に「ブチッ」「ピキッ」という感覚と共に、太ももの裏(ハムストリングス)やふくらはぎに突然の激痛。内出血や腫れを伴うこともあります。
- 原因: ウォーミングアップ不足、筋肉の疲労、柔軟性の低下、急なダッシュやジャンプ、ストップ動作など。
- 対処: RICE処置を速やかに行い、医療機関を受診しましょう。適切なリハビリテーションを行い、再発予防に努めることが重要です。
4. 手指の怪我
ボールを扱うスポーツであるため、手指の怪我も少なくありません。
- 突き指
- 症状: 指の痛み、腫れ、曲げ伸ばしがしにくい。ひどい場合は変形や内出血。
- 原因: ボールが指先に強く当たったり、不自然な形で指が伸びたり曲がったりすることで、関節や靭帯、腱が損傷します。
- 対処: 軽度であれば、アイシングとテーピングでの固定で様子を見ますが、無理に引っ張ったりしないことが重要です。腫れが引かない、変形している、曲げられないなどの場合は、骨折や靭帯断裂の可能性もあるため、整形外科を受診しましょう。
- 指の骨折
- 症状: 激しい痛み、腫れ、変形、指を動かせない。
- 原因: 突き指の重症なもの、転倒時に手をつく、ボールの衝撃が指に集中する。
- 対処: 直ちに整形外科を受診し、適切な固定や手術などの治療が必要です。
5. その他の怪我
- アキレス腱断裂
- 症状: 運動中に「後ろから蹴られた」ような強い衝撃と激痛、立つ・歩くことが困難。
- 原因: 急なダッシュやジャンプ、方向転換時に、アキレス腱に強い負荷がかかることで発生します。30代以降に多く見られます。
- 対処: 緊急性の高い怪我であり、速やかに整形外科を受診する必要があります。多くの場合、手術が必要です。
- 捻挫(足首以外)、打撲、擦り傷
- 接触プレーや転倒によって、足首以外の関節の捻挫、体の打撲、擦り傷なども頻繁に発生します。
怪我の予防のために
バスケットボールの怪我を予防するためには、以下の点に注意することが重要です。
- 十分なウォーミングアップとクールダウン: プレー前には全身をしっかり温め、プレー後にはクールダウンで筋肉をケアしましょう。
- 筋力トレーニングと体幹強化: 特に下半身の筋肉や体幹を鍛えることで、安定性が向上し、怪我のリスクを減らせます。
- 柔軟性の向上: ストレッチをしっかり行い、関節の可動域と筋肉の柔軟性を高めましょう。
- 正しいフォームの習得: ジャンプの着地、ランニング、方向転換など、基本的な動作の正しいフォームを身につけることが重要です。
- 適切なシューズの選択: 足首をサポートするハイカットシューズや、クッション性の良いシューズを選ぶことも予防に繋がります。
- テーピングやサポーターの活用: 過去に怪我をしたことがある部位や、不安のある部位にはテーピングやサポーターで補強することも有効です。
- 休息と栄養: 過度な練習は怪我のリスクを高めます。十分な休息とバランスの取れた食事で体を回復させましょう。
- 異変を感じたら休む: 痛みや違和感がある場合は無理せず練習を中断し、必要であれば医療機関を受診しましょう。