ゲートボール|グラウンドゴルフで発生しやすい怪我・痛み

スポーツによる怪我・痛み

ゲートボールとグラウンドゴルフは、比較的緩やかなペースで行われるスポーツですが、中高年層に人気の高いこともあり、身体の柔軟性や筋力の低下が原因で怪我や痛みを発生しやすい側面があります。

特に、腰や膝といった下肢の関節、そして肩や肘に、繰り返し負荷がかかることによるオーバーユース障害が多く見られます。

また、不慣れな場所でのプレーや、油断による転倒も主要な怪我の原因となります。

ここでは、ゲートボールとグラウンドゴルフで発生しやすい外傷や怪我を、主な部位ごとにまとめて解説します。

※接骨院では施術困難な外傷・怪我も情報として、まとめさせていただきます。

ゲートボール・グラウンドゴルフで発生しやすい怪我・痛み

腰・背中の怪我(最も高頻度)

スティック(クラブ)を振る際の姿勢や、ボールを打つための前傾姿勢、ボールを拾う際の屈む動作など、腰や背中には繰り返し負担がかかります。

  • 腰痛(筋・筋膜性腰痛、腰椎捻挫、椎間板ヘルニアなど)
    • 症状: 腰の重だるさ、張り、特定の動作での痛み。ひどい場合は、足への放散痛やしびれを伴うこともある。
    • 原因: スティックを振る際の不適切な姿勢(背中が丸まる、反りすぎるなど)、長時間の前傾姿勢、ボールを拾う際の無理な姿勢、体幹の筋力不足、柔軟性不足、繰り返しのオーバーユース
    • 対処: 急性期は安静アイシング。痛みが落ち着いたら温熱ケアストレッチ、そして体幹の強化(腹筋、背筋、殿筋など)が特に重要です。痛みが続く場合や神経症状を伴う場合は整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。
  • 坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)
    • 症状: 腰からお尻、太ももの裏、ふくらはぎにかけての痛みやしびれ
    • 原因: 椎間板ヘルニアや梨状筋症候群など、坐骨神経が圧迫されることで発生します。腰痛と同様に、不適切な姿勢やオーバーユースが誘因となります。
    • 対処: 腰痛と同様に、安静、ストレッチ、体幹強化。しびれを伴う場合は医療機関での詳細な検査が必要です。

 

膝の怪我

ボールを打つ際の屈伸動作、コースの移動、そして重心移動で膝に負担がかかります。

  • 膝関節痛(変形性膝関節症の悪化、膝蓋大腿関節症、膝蓋腱炎など)
    • 症状: 膝の痛み、特に屈伸時や階段の昇り降り、歩行時に痛む。
    • 原因: スティックを振る際の膝の屈伸動作の繰り返し、長時間の立ちっぱなしや歩行、加齢による関節軟骨の摩耗(変形性膝関節症の基礎がある場合)、不適切なシューズ、筋力不足、柔軟性不足などが膝への負担を増やします。
    • 対処: 安静、アイシング、大腿四頭筋やハムストリングスの強化、ストレッチ。サポーターやインソールの使用も有効です。痛みが続く場合は整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。
  • 半月板損傷(軽度なもの)
    • 症状: 膝の痛み、引っかかり感、ロッキング現象(膝が曲がったまま伸びない)。
    • 原因: ボールを打つ際の膝の不自然なひねり、あるいは転倒時に膝に衝撃が加わる。
    • 対処: 医療機関を受診し、損傷の程度を診断してもらいましょう。

 

肩・肘の怪我

スティックを振る、ボールを打つといった動作で肩や肘に負担がかかります。

  • 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)の悪化、腱板炎
    • 症状: 肩の痛み、腕が上がりにくい、夜間痛。
    • 原因: スティックを振る際の肩関節への繰り返し負荷(オーバーユース)。肩関節周囲の筋力不足、柔軟性不足、加齢による組織の変性が関与します。
    • 対処: 安静、アイシング、温熱ケア、ストレッチ。痛みが続く場合は医療機関を受診しましょう。
  • 肘関節の腱炎(外側上顆炎/テニス肘、内側上顆炎/ゴルフ肘など)
    • 症状: 肘の外側または内側に痛みが生じ、特にスティックを握ったり、腕や手首を動かしたりする際に痛みが強くなる。
    • 原因: スティックを振る動作における肘や前腕の筋肉への繰り返しによる過度な負荷(オーバーユース)。不適切なフォームや筋力不足も影響します。
    • 対処: 安静が基本です。アイシング、ストレッチ(前腕の筋肉)、肘バンドの使用、フォームの見直しなどが有効です。痛みが引かない場合は医療機関を受診しましょう。

 

足・足首の怪我

コースの移動、ボールを打つ際の重心移動、そして不整地でのプレーや転倒により足首に負担がかかります。

  • 足底筋膜炎(そくていきんまくえん)
    • 症状: 足の裏(特にかかとや土踏まず)の痛み。特に運動開始時や、長時間歩いた後に痛みが強く、進行すると安静時にも痛むことがある。
    • 原因: 長時間の歩行や立ちっぱなし、不適切なシューズ(クッション性の低い靴、合わない靴)、扁平足などの足の構造的問題、ふくらはぎの柔軟性不足などが、足底筋膜に繰り返し負荷をかけ、炎症を引き起こします。
    • 対処: 安静、アイシング、ストレッチ(特にふくらはぎや足裏)、インソールの使用、シューズの見直し。痛みが続く場合は医療機関を受診しましょう。
  • 足関節捻挫
    • 症状: 足首の痛み、腫れ、内出血。ひどい場合は体重をかけられない。
    • 原因: 不整地(芝生、土、でこぼこ道)での歩行中に足首をひねる、段差を踏み外す、あるいはバランスを崩して転倒する。
    • 対処: RICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)が基本です。痛みが続く場合や腫れがひどい場合は医療機関を受診し、靭帯の損傷度合いを確認することが重要です。

 

その他(転倒による怪我)

ゲートボールやグラウンドゴルフは屋外で行われることが多く、地面の状況によっては転倒のリスクが伴います。

  • 打撲・擦り傷・裂傷
    • 症状: 痛み、腫れ、内出血、皮膚の損傷。
    • 原因: 転倒、あるいはスティックやボールとの接触。
    • 対処: アイシング、清潔な処置。深い傷や出血が多い場合は医療機関を受診。
  • 骨折(手首、鎖骨、肋骨、股関節など)
    • 症状: 激しい痛み、腫れ、変形。
    • 原因: 転倒時に手をつく、あるいは体幹を強く打ち付ける。特に、高齢者では股関節や手首の骨折は重篤化しやすいです。
    • 対処: 緊急性の高い怪我であり、直ちにプレーを中止し、速やかに整形外科を受診しましょう。

 

怪我の予防のために

ゲートボールやグラウンドゴルフにおける怪我のリスクを減らすためには、以下の点に注意することが非常に重要です。

  • 十分なウォーミングアップとクールダウン:
    • プレー前には全身を軽く動かす動的ストレッチ(関節を回す、屈伸運動、軽い足踏みなど)を10分程度行い、体を温め、筋肉の柔軟性を高めましょう。特に腰、膝、股関節、肩、肘を中心に念入りに行いましょう。
    • プレー後には使った筋肉の静的ストレッチを丁寧に行い、クールダウンすることで疲労回復を促し、柔軟性を維持できます。
  • 正しいフォームの習得:
    • スティック(クラブ)の持ち方、振り方、そしてボールを打つ際の適切な姿勢を習得しましょう。腰や膝に負担をかけないよう、体幹を意識して、膝を柔らかく使うフォームを心がけましょう。
    • ボールを拾う際も、腰を曲げるだけでなく、膝をしっかり曲げて屈むようにしましょう。
  • 適切なシューズ選び:
    • クッション性、安定性、そして地面の状況に応じたグリップ力に優れた運動靴を選びましょう。特にグラウンドゴルフでは、芝生や土の上を歩くため、滑りにくいソールのものを選びましょう。
    • 足にしっかりフィットし、つま先にゆとりがあるものを選び、靴擦れなどのトラブルを防ぎましょう。
  • 筋力トレーニングと柔軟性の向上:
    • 体幹(コア)の安定性を高める運動や、下半身(大腿四頭筋、ハムストリングス、殿筋、ふくらはぎ)の筋力を維持・向上させる運動を取り入れましょう。
    • 全身の柔軟性、特に腰、膝、股関節、足首、肩、肘の柔軟性を高めることで、無理のない可動域で動作を行え、怪我のリスクを減らせます。
  • 段階的な運動量・強度の増加と休息:
    • 急激なプレー時間や頻度の増加は避け、無理のない範囲で徐々に運動量を増やしていきましょう。特に久しぶりに運動する方は、少しずつ体を慣らしていくことが重要です。
    • オーバーユースが怪我の主な原因となるため、適切な休息日を設け、疲労が蓄積している場合は無理せず休養を取りましょう。
  • 周囲の状況確認と安全確保:
    • プレー中は、足元の不整地、段差、他のプレイヤーやボールの動きに常に注意を払いましょう。
    • 特に雨上がりなどで地面が滑りやすい場合は、より慎重にプレーしましょう。
  • 体調管理と水分補給:
    • 体調が悪い時や疲労が蓄積している時は無理せず休みましょう。
    • 屋外での活動になるため、熱中症予防のためのこまめな水分補給も忘れずに行いましょう。夏場は帽子を着用する、日陰で休憩を取るなど、暑さ対策も重要です。
  • 症状の早期発見と対処:
    • 痛みや違和感がある場合は無理せずプレーを中断し、必要であれば整形外科などの医療機関を速やかに受診しましょう。「少しの痛みだから」と我慢して続けることは、軽度な症状を重症化させる最大の要因ですし、長期的な不調につながる可能性もあります。