寝違えが、腋窩神経(脇にある神経)に影響を及ぼすことはありますか?

寝違え・首の怪我・痛み
寝違えは首や肩周りの筋肉の炎症や過緊張が主な原因ですが、その症状が腋窩神経(えきかじんけい)に直接的な影響を及ぼすことは非常に稀であると考えられています
しかし、間接的に関連する可能性はゼロではありません。

寝違えが腋窩神経に影響を及ぼすことはありますか?

腋窩神経とは

腋窩神経は、腕神経叢(わんしんけいそう)と呼ばれる神経の束の一部で、脇の下(腋窩)を通り、肩の三角筋や小円筋といった筋肉を支配し、肩の外側の皮膚の感覚を司る重要な神経です。主に肩を上げる動作や、腕を外側に回す動作に関与しています。

 

寝違えと腋窩神経の関連性が低い理由

寝違えの主な影響部位は、首の後ろから肩にかけての筋肉(僧帽筋、肩甲挙筋、板状筋、胸鎖乳突筋など)です。これらの筋肉の緊張や炎症が、主に首の可動域制限や痛みを引き起こします。

一方、腋窩神経は、首の神経根から鎖骨の下を通り、腕神経叢を経て脇の下へと走行しています。寝違えで炎症を起こしやすい首の表層や深層の筋肉と、腋窩神経の走行経路は直接的に重なる部分が少なく、寝違えが原因で腋窩神経が直接圧迫されたり損傷したりするケースは一般的ではありません。

 

間接的な影響の可能性と注意点

ごく稀に、以下のような状況で間接的な関連が考えられるかもしれません。

  • 広範囲な炎症や強い筋緊張: 寝違えの症状が非常に重く、首から肩甲骨、上腕にかけて広範囲に炎症や強い筋肉の緊張が波及した場合、周辺の神経に影響が及ぶ可能性も理論上は考えられます。しかし、その場合でも腋窩神経が直接的な影響を受けるよりは、腕神経叢の他の神経(例えば、橈骨神経や正中神経)に症状が出ることの方が多いでしょう。
  • 複合的な要因: 寝違えと同時に、別の原因で肩関節周辺に問題(例えば、肩関節の不安定性や脱臼しかけの状態など)が生じており、それが腋窩神経に影響を与えている可能性も考えられます。この場合、寝違え自体が腋窩神経に影響を与えているのではなく、根本に別の原因があることになります。

 

腋窩神経の症状と医療機関受診の目安

もし、寝違えの症状に加えて、以下のような腋窩神経の症状が顕著に現れている場合は、単なる寝違えではない他の原因が考えられます。

  • 肩が上がらない(三角筋の麻痺): 特に腕を真横に持ち上げる動作ができない、または非常に困難。
  • 肩の外側の感覚の鈍さやしびれ: 肩のデルタ部分(三角筋を覆う部分)の皮膚の感覚が鈍い、またはしびれる。
  • 肩関節の不安定感

これらの症状が見られる場合は、自己判断せずに速やかに整形外科を受診してください。 腋窩神経の損傷や圧迫は、治療が遅れると回復が難しくなることもあるため、専門医による正確な診断と適切な治療が必要です。

腕が極端にしびれている場合は、接骨院ではなく整形外科を受診してください。