寝違えで脇が痛むことは十分にありえます。
寝違えの主な原因は首や肩周りの筋肉の過緊張や炎症です。
これらの筋肉は脇の周辺の筋肉とも密接につながっているため、痛みが波及したり、関連する神経が圧迫されたりすることで脇に痛みを感じることがあります。
寝違えで脇が痛むことはありますか?
脇の痛みに繋がる主な筋肉と神経
脇の痛みに特に注意すべき筋肉や神経は以下の通りです。
- 広背筋(こうはいきん): 背中から脇、腕の内側にかけて広がる大きな筋肉です。首や肩の不調がこの筋肉の緊張を引き起こし、脇や腕にかけて痛みを感じさせることがあります。
- 大胸筋(だいきょうきん): 胸部にある筋肉ですが、一部は脇の下を通って腕に付着しています。この筋肉の緊張やトリガーポイントが原因で、脇に痛みを感じることがあります。
- 小胸筋(しょうきん): 大胸筋の深層にある小さな筋肉で、肩甲骨の動きに関わります。この筋肉が硬くなると、脇を通る神経や血管を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす可能性があります。
- 斜角筋(しゃかくきん): 首の側面にある筋肉で、腕や手に向かう神経(腕神経叢)がこの筋肉の間を通っています。首の筋肉である斜角筋の過緊張が神経を圧迫し、放散痛として脇や腕、指先に痛みやしびれを感じることがあります。これは寝違えの症状が重い場合に起こりやすいです。
- その他、関連する筋肉群: 首から肩、背中にかけての筋肉(僧帽筋、肩甲挙筋など)の強い緊張が、関連痛として脇に症状を出すこともあります。
脇の痛みで他に気をつけてほしい病気
脇の痛みは、寝違え以外にも様々な原因で起こることがあります。特に、以下の病気は緊急性が高かったり、専門的な治療が必要だったりする場合があるので注意が必要です。
筋肉・骨格系の他の問題
- 胸郭出口症候群: 首から脇の下を通って腕や手に向かう神経や血管が、鎖骨や肋骨、筋肉によって圧迫されることで、脇や腕、手や指にしびれや痛み、だるさが生じます。特に腕を上げた時に症状が悪化しやすいのが特徴です。
- 肋間神経痛: 肋骨に沿って走る神経が何らかの原因で刺激され、脇腹から胸にかけて鋭い痛みが生じます。深呼吸や咳、体の向きを変える際に痛みが強まることがあります。
- 四十肩・五十肩(肩関節周囲炎): 肩関節の炎症により、肩だけでなく、脇や腕にかけて痛みが広がる場合があります。腕を上げたり回したりする動作で痛みが強まります。
皮膚・感染症による問題
- 帯状疱疹: 水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる病気で、神経に沿ってピリピリとした痛みや灼熱感が生じ、その後赤い発疹や水ぶくれが現れます。脇の下に症状が出ることもあります。
- リンパ節炎: 脇の下にはリンパ節が集中しており、風邪などの感染症や、稀に悪性腫瘍によってリンパ節が腫れて痛むことがあります。触るとしこりのように感じられることが多いです。
内臓・胸部の問題
- 狭心症・心筋梗塞: 心臓の病気ですが、左の胸だけでなく、左の脇、肩、腕、背中などに放散痛として痛みが現れることがあります。胸の締め付け感、息切れ、冷や汗などを伴う場合は緊急性が高いです。
- 肺炎・胸膜炎: 肺やその周りを覆う胸膜の炎症により、咳や発熱と共に、深呼吸や咳で脇腹や胸に痛みが生じることがあります。
- 乳腺炎・乳がん(女性の場合): 女性の場合、乳房の炎症(乳腺炎)や乳がんが脇の下のリンパ節に転移することで、脇の痛みやしこりとして感じられることがあります。
脇の痛みは原因が多岐にわたるため、痛みが続く場合や、しびれ、発熱、強い胸の痛み、息苦しさなどを伴う場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。特に心臓疾患や肺疾患の可能性が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診してください。