「リウマチは治せますか?」と電話で質問されることがありますが、接骨院ではリウマチは治すことはできません。
慢性関節リウマチは、自己免疫性疾患になりますので、接骨院では一切取り扱うことはできません。
僕たち接骨院で行えるのは「骨折・脱臼・打撲・ねんざ・挫傷」などの怪我・外傷に対する施術です。関節や筋肉を痛めてしまった方向けの機関になります。
「リウマチ科」を標榜する医療機関・病院の受診が必要です。
簡単ではありますが、慢性関節リウマチについてまとめておきます。
関節の怪我・外傷と間違えて来院されやすい「慢性関節リウマチ」
慢性関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis; RA)は、全身性の自己免疫疾患の一つで、主に複数の関節に慢性的な炎症を引き起こし、進行すると関節の破壊や変形、機能障害を伴う病気です。
原因
関節リウマチの正確な原因はまだ完全に解明されていませんが、以下の要素が関連していると考えられています。
- 自己免疫の異常: 本来、細菌やウイルスなど外敵から体を守る免疫システムが、誤って自分自身の関節を攻撃してしまうことで炎症が起こります。特に、滑膜(関節を包む膜)に炎症が生じ、関節の軟骨や骨を破壊していきます。
- 遺伝的要因: 家族内での発症が見られることもありますが、遺伝性はそれほど強くないとされています。
- 環境要因: 細菌やウイルスの感染、過労、ストレス、喫煙、出産、けがなどが発症のきっかけとなることがあります。
- 性別・年齢: 30~40歳代の女性に多く発症する傾向があります(男女比は1:3~4)。
症状
関節リウマチの主な症状は以下の通りです。
- 関節の腫れと痛み: 特徴的な症状で、左右対称に現れることが多いです。手の指や足の指の小さな関節から始まり、手首、足首、肘、膝、肩、股関節など全身の関節に広がることがあります。
- 朝のこわばり: 朝起きた時に手足の関節が固まったように動かしにくくなる症状で、リウマチに特徴的です。数時間続くこともあります。
- 関節の変形: 病気が進行すると、軟骨や骨が破壊され、関節の脱臼や変形が生じます。手指の変形(スワンネック変形、ボタン穴変形など)や足の指の変形が見られることもあります。
- 全身症状: 関節以外の全身症状として、微熱、全身倦怠感、だるさ、疲れやすさ、貧血、体重減少、リンパ節の腫れなどが見られることがあります。
- 関節外症状: まれに、肺(間質性肺炎)、血管(血管炎)、目、口などに炎症が起こることもあります。
- リウマチ結節: 関節の小さなしこりが手指の関節や手首の関節などにできることがあります。
診断
診断は、症状、身体診察、血液検査(リウマトイド因子、CRP、MMP-3など)、X線検査などに基づいて総合的に行われます。早期診断が非常に重要であり、発症から2年以内に最も急速に症状が進行すると言われています。
治療
近年、関節リウマチの治療は大きく進歩しており、早期に適切な治療を開始することで、関節破壊の進行を抑え、寛解(症状が落ち着いた状態)を目指せるようになりました。
主な治療法は以下の通りです。
- 薬物療法:
- 消炎鎮痛薬(NSAIDs): 関節の腫れや痛みを和らげますが、根本的な炎症を取り除く効果はありません。
- 抗リウマチ薬(DMARDs): 病気の進行を抑える中心的な薬剤です。メトトレキサート(MTX)が第一選択薬として広く用いられます。効果が出るまでに時間がかかるため、初期には消炎鎮痛薬やステロイドが併用されることもあります。
- ステロイド: 強力な抗炎症作用がありますが、副作用があるため、炎症が強い場合に一時的に用いられることがあります。
- 生物学的製剤: 炎症を引き起こす特定の物質(サイトカイン:IL-6やTNFαなど)の働きを妨げ、関節破壊の進行を強力に抑えます。注射(点滴または皮下注射)で投与されます。
- JAK阻害薬: 比較的新しいタイプの飲み薬で、生物学的製剤と同様に特定の炎症経路を阻害します。
- リハビリテーション:
- 物理療法: 温熱療法、寒冷療法、光線療法、水治療などを用いて、痛みや腫れを軽減し、関節の可動域を維持します。
- 運動療法: 関節の動きを保ち、筋力を維持・強化するための運動を行います。安静と運動のバランスが重要です。
- 外科的治療:
- 薬物療法で効果が得られない場合や、関節破壊が進行して機能障害が著しい場合などに、滑膜切除術や人工関節置換術などが検討されます。
日常生活での注意点:
- 関節に負担をかけない生活を心がける。
- 適度な運動と休息。
- 保温に努める。
- バランスの取れた食事。
- ストレスを避ける。
関節リウマチは慢性疾患であり、治療は長期にわたりますが、適切な治療と自己管理によって、症状をコントロールし、生活の質を維持することが可能です。早期に医療機関を受診し、専門医と相談しながら治療を進めることが重要です。